梅シロップの失敗しない作り方、腐敗、発酵、カビ防止対策。ネット情報は嘘が多いから気をつけて

かぶとたいぞうです。

今年は梅が豊作で採れすぎた梅で梅シロップを大量に作っています。

13瓶作ったうちの2瓶が失敗しました。

早めに発見したので、火入れしてリカバリーしましたが、梅はまだまだ木に成っているので廃棄してもいいのです。



失敗しない方法はないか

まったく同じ条件で作っても、失敗するものは失敗するのだなと思いました。

何か失敗しないヒントがないかと、ネットでいろいろな人の梅シロップの作り方の記事を読みました。

驚きました。よくこんな適当なことを書けるものだと思うような記事がネット上には散見されました。

誰でも情報発信できるので怖い

今の時代は誰でも情報発信できるので怖いですね。

中学、高校で理科をしっかり学ばなかったからなのか、基本知識がまったくないのに堂々と書いているのには驚きました。

ネット情報で明らかに間違いだと思ったものを中心に、正しいやり方をお伝えします。



正しい梅シロップの作りかた

まず、梅シロップに氷砂糖を使う記事が多いですが、梅シロップは砂糖の浸透圧を利用して梅の中の水分と旨味だけをなるべく早く出さなければならないので、砂糖はなんでもいいですが、溶けやすいものを選ぶべきです。

氷砂糖は溶けるのがゆっくりなので梅酒にはいいかもしれません。梅酒は35度の焼酎に漬けるのでカビないし腐敗もしません。

梅シロップの場合は

しかし梅シロップの場合は生の梅が長時間空気に触れているとカビる可能性が高いので、なるべく早く梅の水(梅酢)出して梅全体を梅酢に沈めなければなりません。

だから溶けやすい上白糖を使い(私はすずらん印の甜菜糖)、毎日瓶を5回も6回もふって、砂糖を早く溶かし、なおかつ、梅の空気に触れる部分に砂糖と梅酢を漬け込んでカビを防ぐのです。



砂糖を何回かに分けて入れるより

砂糖をいっぺんに入れずに、数回に分けて入れるという記事もありました。ある意味正しいです。瓶の底に大量の砂糖が溜まるより、梅の上になるべくかけたほうがカビを防げます。

でもそれよりいいのは、瓶の蓋をしっかり締めて、瓶を逆さにすることです。1日2~3時間くらい逆さにしておくといいでしょう。漏れていないか時々見てください。

漬けてから4、5日が勝負

梅シロップは漬けてから4、5日が勝負です。暇さえあれば瓶をふったり逆さにして、シロップを梅にまんべんなく漬けないとカビます。梅シロップは暇人にしか作れないのです。

みんながよく知っている青カビとか白カビとか綿のようなカビは水に浸かっている所には生えません。生えるのは水に浸かっていないところです。だから漬物には中蓋をして重しをして全体を水に浸かった状態にするのです。



梅を早く水に沈める

瓶をよくふるのは、砂糖を早く溶かして梅全体につけて梅酢が早く出て梅全体を水に沈ませるためなのです。

さて、ある程度梅酢が出てきた頃から今度は腐敗と発酵が始まります。カビは水カビを除いて水中には生えませんが、他の菌は水中で増殖します。

腐敗と発酵の違い

ここでも間違った記事が多いのですが、腐敗と発酵はどちらも同じようなものです。どちらも瓶の中の菌が砂糖と梅酢を食べて繁殖します。

菌が排泄したものの味と匂いが人間にとって心地良ければ発酵と呼び、心地悪ければ腐敗と呼んでいるだけです。



匂いを嗅げば分かる

だから瓶を開けて匂いを嗅いでみればいいのです。変な匂いだな、こんなもの飲みたくないなと思えば腐敗なのです。

瓶の中には様々な菌がいますから、腐敗と発酵は複数同時に起こります。そして複雑な匂いになるのですが、明らかに嫌な匂いだったら諦めたほうがいいです。

カビたら諦めよ

いくつかの記事には、カビていたとしてもシロップだけ取り出して火入れ(低温で長時間加熱)すれば大丈夫だというのがありましたが、やめたほうがいいです。

カビは死にますがカビ毒は残り、最悪病気になります。



シロップだけ火入れして生の梅に戻す?

さらに、驚いたのは、梅は火入れせず、シロップだけ火入れして、その後火入れしない梅に冷ましたシロップを戻すというものがありました。

青梅を加熱すると苦味が出るからだと思いますが危険なやり方です。

また腐敗したりカビる可能性大です。肝心な梅に菌が残っていますから。

完全に菌を殺すなら、梅ごと沸騰させて殺菌してから、熱い内に瓶に戻すしかありません。

青梅を加熱すると苦味が出るが

やったら分かりますが、腐ったりカビたシロップを加熱したら、キッチンじゅう嫌な匂いが充満して、こんなもの飲めるのかという気持ちになるはずです。

また、青梅は前述したように加熱すると繊維が崩れて中から苦味が出ます。青梅でジャムを作ったことのある人なら分かると思います。だから変な匂いと味に加え苦味のあるシロップになりますが、それでも飲めるなら飲めばいいと思います。



苦くてもいいなら

そもそも苦くてもいいなら、最初から青梅を少量の水と砂糖で煮てから瓶に入れればいいのです。絶対に腐敗しないしカビません。ピクルスの作り方と似ています。

生の梅の水分を砂糖の浸透圧だけで出すのは苦味を出さないためなのです。

生のままで作っても失敗しない方法

生の梅を砂糖だけで漬けて、なおかつ腐敗を未然に防ぐ方法はあるのか。

あります。

毎日こまめに瓶をふったりひっくり返して、その時によく観察することです。

腐敗や発酵が始まったら、梅が糸を引きます。いくら砂糖が濃くてもそれだけでは糸を引きません。糸を引くということは中で何かが起こっているのです。たいていは菌の増殖です。



糸を引き始めたら

糸を引いているのを発見したら、直ちに蓋を開けて匂いをかぎます。鼻の良さが必要です。

ちょっとでも違和感のある匂いだったら、対策を講じます。本来梅シロップは梅のいい香りと砂糖の匂いしかしません。

対策は3つ。

1つ目は酢

1つ目は穀物酢を充分量入れることです。酢の酸が菌を殺します。梅酢と同じくらいの量を入れ、蓋をして瓶をよく振ります。梅が隠れるくらい酢を入れるとなおいいです。カビ防止にもなります。

出来上がりのシロップは酢の味がしますが、梅シロップ自体が酸っぱいので気になりません。

2つ目はビオフェルミン

2つ目は乳酸菌を入れることです。家にビオフェルミンがあれば5、6粒も入れて蓋をしてからよくふって溶かせば乳酸菌が繁殖します。乳酸菌はとても強く、他の菌の繁殖を抑えてくれます。

乳酸菌飲料ができる

出来上がりのシロップはこれまた酸っぱいです。漬物の酸っぱさと同じです。でも乳酸菌なので体に害はありません。むしろ体にいいです。

乳酸菌飲料ですから。梅の本来の酸っぱさに混ざって乳酸菌による乳酸発酵の酸っぱさが複雑な風味を作ります。人によってはクセになるかもしれません。味が気に入ったら次回は最初からビオフェルミンを入れるといいです。腐敗防止になります。

3つ目は火入れ

最後3つ目は火入れです。梅ごとホーロー鍋で60℃〜70℃で最低5分は加熱し、熱い内に瓶に戻します。瓶がプラスチック製なら、瓶を水道水でよく洗い、アルコールで消毒して冷ましてから戻します。

出来上がった梅シロップには苦味と雑味が出ますが、一番安全な方法です。

焼酎を入れる方法も

最後に35度の焼酎を入れて漬け込む方法もありますが、そうなるとすでに梅シロップではなく梅酒です。でも考えようによっては、失敗したら梅酒にするという考え方もあるかもしれません。

とにかく毎日瓶を降ってよく観察してください。

泡が出てきたり濁ったら諦める

泡が出てきたり、シロップが濁ってきたらもう手遅れですよ。

うまくいった時の梅シロップは無色透明です。そして蓋を開けるといい匂いがします。甘酸っぱい爽やかな匂いです。

シロップに色がつくのは漬けてから1週間くらい経った頃で、それでも薄い色です。ビールのような色とかもっと濃い色になったら何かが起こっていると思います。早めに気づいて対処してください。

ただし酢を入れるとシロップは黒くなります。また梅自体が黒ずんでくるのは普通です。

カビたら廃棄

繰り返しますが、梅がカビたら廃棄したほうがいいですよ。めったにありませんが、発がん性のあるカビ毒もありますから。

最後に老婆心ですが、時折アルコール発酵することもあります。

アルコール発酵

砂糖が自然の麹菌によりブドウ糖、果糖など単糖類に分解され、梅に付着していた酵母菌によりアルコール発酵が始まるのです。

梅シロップが泡立ってきて蓋を開ける時にシュワッと気体が出てきます。炭酸ガスです。

鼻が良ければ微妙にアルコールの匂いがするのが分かるはずです。

酒税法違反、爆発、腐敗

そのまま漬ければ本物の梅酒になりますが、酒税法違反です。

瓶がガラス製なら炭酸ガスが溜まって爆発して思わぬ大怪我をするかもしれません。

素人が酒を作るとアルコール発酵と同時に腐敗も進み、飲んだら病気になるかもしれません。

アルコール発酵したら火入れ

アルコール醗酵したのを確認したら、臭いをよく嗅いで、腐敗臭も混ざっていたら廃棄、大丈夫そうなら直ちに火入れをしてアルコール発酵を止めてからもう少し漬け込むといいです。

いずれにせよ、レシピや人の作り方より自分の目と鼻を信じましょう。

よくふって、よく見る

私なんか暇さえあれば。瓶をひっくり返して、よく見て、1日1回は必ず蓋を開けて臭いを嗅いでます。

最初の1週間ぐらいはよくふって、ひっくり返して、よく観察して早めに対策を講じれば失敗はありません。

梅シロップはそれほど難しくはないです。暇さえあれば。

あ、砂糖の量が多ければ多いほど失敗は減ります。心配な人は少し多めに砂糖を入れるといいです。甘くなりますが、砂糖が濃いと菌は繁殖しません。あんこが腐らないのと同じです。

暇人

ただしよく瓶をふらないとせっかくの濃い砂糖が梅につかないので、やっぱり頻繁にふったりひっくり返して砂糖をまんべんなくからめる必要があります。

やっぱり暇人でなければ梅シロップは作れないですね。

でも適当に作っても失敗することは稀なので、気軽に作ってみてください。

追記)

忘れてました。最初から冷蔵庫に入れておくと失敗は少なくなります。ただし、ふったりひっくり返すことを忘れるので、私は梅酢がしっかり出るまでは目につくところに置いておき、梅が梅酢にしっかり浸かるようになってから冷蔵庫に入れてます。

ごきげんよう。


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著者かぶとたいぞう拝。


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