かぶとたいぞうです。
昨日、久しぶりに映画「風の谷のナウシカ」を見ました。
私は、今まで何回も何回も「風の谷のナウシカ」を見ました。子どもたちが小さい時は一緒に見ました。
一番最初に見たのは、今から約40年前
でも私が「風の谷のナウシカ」を一番最初に見たのは、今から約40年前。私が大学生のころです。
当時、大学の先輩に、いわゆる「活動家」だった人がいました。同じ北海道出身ということで仲良くしていました。
彼は当時、「新宿に原発を作ろう」という活動をしていました。
新宿に原発を作ろう
私が「なぜ新宿に原発を作りたいのか」と尋ねると、先輩はこう答えました。
「新宿に原子力発電所を作るのが望みではない。東京電力が原発は安全で絶対に爆発するようなことはないというから、それならなぜ新宿に作らないのか、福島から送電線で電気を引っ張るくらいなら大消費地である東京のど真ん中に原発を建設したほうがコスト的にも安いはずだ」「つまり反語として唱えているだけで望みは危険な原発を無くすことだ」
原発が爆発するようなことがあるのか
私は先輩に聞きました。
「福島原発が爆発するようなことがあるとでも考えているんですか」
すると先輩はこう答えました。
「可能性があるから東京電力は東京都内には作らず、わざわざ福島に作ったのだ」
ありえないことを言う先輩だなと当時の私は思いましたが、先輩の言ったことは27年後に実際に福島で起こったのです。
「風の谷のナウシカ」の上映会
さて、話を「風の谷のナウシカ」に戻します。
ある日、その活動家の先輩から「映画の上映会をやるから来ないか」と誘われました。
また左翼的な映画かなんかだと思ってためらっていたら、先輩は「風の谷のナウシカという面白いSFアニメ映画だよ」と言うのです。
行くことにした
当時学生がよく集まる駅前のいわゆる学生街の喫茶店で無料で見せると言うのです。ただし1人コーヒー1杯は飲んでもらうのが店との約束だと言いました。
まだビデオがなかった時代。コーヒー1杯で面白い映画が見れるならいいかなと思って私は上映会の日時にその喫茶店に行きました。
「風の谷のナウシカ」の35ミリフィルム
当日先輩は、どこから借りてきたのか「風の谷のナウシカ」の35ミリフィルムをカバンに入れて持ってきて、映画館にあるような映写機にセットし、喫茶店の窓をすべて暗幕でふさぎました。私の他50人くらいは上映会に来ていたと思います。
なんの説明もなく、映画が始まって最初に壁絵のようなタペストリーのような古代遺跡画が出てきて、その後に地球が大戦争で破壊されたあとの世界だというような説明文が出て、そのあと腐海を2頭の変わった動物と旅する男(ユパ)が登場しました。もちろんストーリーは今も同じです。
あっという間の2時間
私は見入ってしまいました。あっという間の2時間でした。
後で調べると、「風の谷のナウシカ」が封切上映されたのは1984年3月11日。私が喫茶店で見たのは同じ1984年の春でした。
おそらくロードショーが終わった映画館のフィルムを借りてきて私達に見せたのでしょう。当時はまだホームビデオがなかったから、本物のフィルムを映写機で映し出すしかありませんでした。
どうやって映画のフィルムを持ってきたのか
今から思えば違法か協定違反だと思いますが、あるいは趣旨に賛同して配給元が特別許可したのかもしれません。
当時の宮崎駿は動物愛護団体とか平和活動などとも連携していたように思います。
上映会の後、先輩は巨神兵と原子爆弾を関連付けて、最後には原発反対、原発なくそうとシュプレヒコールを上げて上映会は無事に終わりました。
あれから40年
あれからもう40年も経ったのですね。
昔は10年ひと昔と言われました。
私が産まれたのは第二次世界大戦が終わってわずか十数年後です。戦後、時代が大きく変わったので、幼い頃母から聞いた思い出話などはわずか10年、20年前の話でも、随分古臭い、遠い昔話のように思いました。
「風の谷のナウシカ」は40年たっても色褪せることがない
しかし、「風の谷のナウシカ」は40年も前の作品なのに、今見ても色褪せることなく感動します。
確かに絵はいかにも2次元的で少し古い感じもしますが、何の遜色もありません。
この40年間、時代がそれほど動いてないのですね。別の言い方をすると、「風の谷のナウシカ」を超えるようないいアニメ映画が生まれてこなかったのだと思います。
宮崎駿自体
宮崎駿自体、その後いろいろな映画を作りましたが、「風の谷のナウシカ」と勝負できるのはせいぜい「天空の城ラピュタ」くらいで、後になればなるほど質が落ちてきます。
晩年の作を見ると「これが本当に風の谷のナウシカを作った人の作品なのかな」「風の谷のナウシカは本当に宮崎駿が自分で作ったのかな」と疑うほどです。
手厳しい評価ですが、私はそう思います。
トトロあたりでやめておけば、宮崎駿は今ごろ伝説の人になっていたでしょう。神格化されたかもしれません。
「風の谷のナウシカ」は何回見ても素晴らしい
ただ、いずれにしても「風の谷のナウシカ」は何回見ても素晴らしいし、古臭さは微塵も感じません。
おそらくこれからも何回も何回も見るでしょう。
金字塔
こういう作品を金字塔と呼ぶのだと思います。
ごきげんよう。
【関連性の高い記事】
【かぶとたいぞう有料ノート】
【あわせて読みたい】
同じカテゴリーの最新記事5件
-
【映画寸評】映画「ナミヤ雑貨店の奇蹟」を久しぶりに観た。そしてまた泣いた -
映画「起終点駅ターミナル」で大下一龍/中村獅童はなぜ「闘え、鷲田寛治!」という言葉を知っていたのか? -
【映画寸評】倍賞千恵子さん主演の映画「PLAN 75」を見て感じたこと -
【映画寸評】瀬戸内寂聴さん原作の映画「夏の終わり」(小林薫、満島ひかり、綾野剛)を見た感想 -
【映画寸評】「東京難民」という映画を見たので、私なりの感想を書きます。
「カブとタイ」をいつもお読みいただき、まことにありがとうございます。
著者かぶとたいぞう拝。
記事のカテゴリー/タグ情報