映画「起終点駅ターミナル」で大下一龍/中村獅童はなぜ「闘え、鷲田寛治!」という言葉を知っていたのか?

かぶとたいぞうです。

佐藤浩市主演の映画「起終点駅 ターミナル」は謎の多いストーリーです。

以前2回見ましたが、2回見てもよく分かりませんでした。



闘え、鷲田寛治!、ってかぁ

中でも最大の謎は、大下一龍(ヤクザの二代目組長)/中村獅童がなぜラストシーンで「闘え、鷲田寛治!、ってかぁ」と言ったのか。どうしてその言葉を知っていたのかという謎です。

今回久しぶりに3回目に見て、ようやく分かったような気がします。間違っているかもしれませんが私の推測を書きます。

ここから推測

中村獅童が演ずる大下一龍は実は結城冴子(鷲田完治の学生時代の恋人、尾野真千子)の息子だったのだと思います。

冴子は鷲田寛治(佐藤浩市)と同じ大学に通い、水商売で鷲田寛治の生活を支えました。戦いを好まない鷲田寛治に冴子がいつも言っていた言葉が「闘え、鷲田寛治!」だったのです。



冴子が鷲田寛治のもとから去った時には、すでにお腹の中に子供がいた

鷲田寛治が司法試験に合格した後、冴子が鷲田寛治のもとから去った時には、すでにお腹の中に子供がいたと思います。その子が大下一龍だと思うのです。年齢が合います。

父親は鷲田寛治です。

冴子が鷲田寛治と再開して家族のことを聞いたときに「あなたの子供なら男の子だと思ったわ」と言うのは、自分が授かった子も男の子だったからでしょう。

その後の冴子

冴子は大学を辞め、小さな息子を1人で抱えてスナック務めをしていた時に結城という男と結婚したのでしょう。

結城は旧姓ではありません。鷲田寛治は最初の場面で「名字が変わっていたので気づかなかった」と言っています。

大下一龍は冴子の連れ子なので本来は結城姓のはずですが、養子縁組かなんかで姓を変えたのだと思います。



大下は本名

鷲田寛治は国選弁護で大下一龍を担当したことがありますから、本名を知っているはずです。だから大下は本名に違いありません。

察するに冴子が一緒になった結城と連れ子の一龍はしだいに折り合いが悪くなり、一龍は中学生くらいで家を飛び出して極道の道に入ったのでしょう。

一龍は母親の冴子のもとにはたまに顔を出していた

極道になっても一龍は母親の冴子のもとにはたまに顔を出していたのだと思います。

そして一龍がおそらく20歳前後の頃。

鷲田寛治と冴子が法定で再開し、店にも来るようになり、いい仲になった頃。



母親の冴子から鷲田寛治のことを打ち明けられた

母親の冴子から鷲田寛治のことを打ち明けられたのです。

「お母さんはえ、闘え、鷲田寛治!といつもお前のお父さんを励ましたのよ」

なんて言ったのかもしれません。

そして、鷲田寛治には今や妻も子もあるのに、家庭を捨てて裁判官の仕事も捨てて、冴子と一緒に暮らそうとしていることも息子の一龍に打ちあけたのだと思います。

そして母親は列車に飛び込んだ

鷲田寛治の人生を狂わすことを気に病み、悩んでいる母親の冴子の姿も息子の一龍は見ていたと思います。

そして母親は列車に飛び込んで死にます。その後鷲田寛治が釧路に籠もったことも調べます。

一龍は父を追って釧路で凌ぐようになり、釧路の親分に腕っぷしと度胸の良さを見込まれて養子になり2代目を襲名したのでしょう。



一龍と鷲田寛治との出会い

一龍が暴力沙汰で捕まり父親の鷲田寛治が国選弁護人になるのは偶然ではないかもしれません。鷲田寛治が国選しかやらないことを知っていたのでしょう。しかし、父との接点を作るのに実刑まで受けるのはどうかと思うので、偶然かもしれません。

この映画は偶然が多すぎるので、これぐらいの偶然は普通なのです。

これで謎が解ける

さて、今までの話はすべて私の想像です。間違っているかもしれません。

しかし、これで大下一龍が言った次の2つのセリフの謎が解けるのです。



「惚れた女のために裁判官を辞めることができても、ですか」

鷲田寛治が冴子のために裁判官を辞めて小さな弁護士事務所を開業しようとしたことを知っていたのは冴子だけのはずです。

「闘え、鷲田寛治!ってかぁ」

この言葉も冴子しか知らなかったはずです。

いずれも大下一龍が母親から聞いていたとしか考えられません。

推測は以上ですが、未だに謎なのは、椎名敦子(完治が弁護を担当した覚醒剤事件の被告人)/本田翼の存在です。



椎名敦子は意味があるのか

椎名敦子も鷲田寛治の娘なのかと思いました。冴子が列車に飛び込んだのが昭和63年。椎名敦子との出会いは平成26年。列車に飛び込む前に生んだか、奇跡的にお腹の中の子供だけが助かったとしたら年齢的に合致します。

あるいは椎名敦子は冴子の生まれ変わりか、亡霊かとも思いました。しかし、椎名敦子の両親の位牌が厚岸の実家にあったので、冴子とはまったく関係ないようです。

なぜ若い娘がパッとしない老人にあそこまで興味を持つのか

なぜ椎名敦子は鷲田寛治に執拗につきまとうのか。なぜ若い娘がパッとしない老人にあそこまで興味を持つのか。なぜコーヒーマシンまで買うのか。

私も老境に入りましたが、若い娘には見向きもされません。羨ましいオヤジロマンではありますがまったく腑に落ちません。

なにか意味があるのかと考えましたが、私の考え過ぎのようです。



深い意味は無いようだ

単に、偶然出会って、鷲田寛治が徐々に社会性を取り戻し、最後は息子の結婚式に出るまでになるきっかけになった存在なのでしょうかね。

それにしては出すぎだし、不自然な接近だし非現実的な関係だと思いました。

鷲田寛治と冴子、大下一龍だけでも充分意味深い濃厚な物語なのに、全然関係ない椎名敦子が出てきて意味の分からない話になってしまったような気がします。

ごきげんよう。


【関連性の高い記事】



【かぶとたいぞう有料ノート】

【あわせて読みたい】


同じカテゴリーの最新記事5件


「カブとタイ」をいつもお読みいただき、まことにありがとうございます。
著者かぶとたいぞう拝。


記事のカテゴリー/タグ情報

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

*