かぶとたいぞうです。
小樽の駅のすぐとなりに「三角市場(さんかくいちば)」という古くからの市場があります。
今は観光市場になってしまいましたが、昔は庶民的な市場でした。魚屋、八百屋、雑貨屋などの間に食堂も2、3軒ありました。
30年前に三角市場で食べたラーメン
もう30年くらい前の話です。得意先の用事で小樽に行ったときに、打ち合わせをしているうちに昼時になりました。得意先の担当さんが「ラーメンの美味しい店がある」と言って三角市場に連れて行ってくれました。
三角市場は前から知っていたのですが、こんなところにラーメン屋なんてあったかなと思って後についていくと、小樽駅側から入って市場のまんなかあたりの右側にある食堂に担当さんは入っていきました。
ラーメン360円
「ここ食堂なんだけど塩ラーメンがうまいんです」
そう言って担当さんは店のカウンターに腰掛けました。
カウンターには木の札がぶら下がったメニューがあり、カレーライスや親子丼などに混ざって「ラーメン360円」というのがありました。
当時ラーメンはススキノで既に700円
「塩ラーメン」も「しょうゆラーメン」も「味噌ラーメン」もありません。あるのは「ラーメン」だけでした。
当時ススキノや札幌中心街ではラーメンは既に700円くらいしていましたので、360円はおどろくほど安いと感じました。
私は内心「安い割には美味しいラーメンなんだろうな」と思っていました。
なんとも美味しいラーメン
出てきたラーメンは少し小ぶりの感じがしましたが、あっさりとした塩味で豚肉のスープがよく効いていて、とても後味のいいラーメンでした。
豚肉のうまみがよく出ているのに、濃厚なのではなく、あっさりとしているのです。白コショウが効いていて上品な味なのです。
小樽に行くたびに食べた塩ラーメン
安いから美味しく感じたのではなく、本当に美味しかったです。食べたあとずっと口の中に余韻が残りました。
それ以来、私は小樽に行くたびに三角市場に寄り、必ずその食堂で「ラーメン」を食べました。値段はずっと360円のままでした。
十数年後
それから十数年。そのうちに小樽に行く用事がなくなり、その食堂のことも忘れかけておりました。
そんなある時、友人と久しぶりに小樽に行くことになり、そのラーメンのことを思い出しました。
不思議なことに、あの芳醇であっさりとした味わいを頭はちゃんと覚えていて、味覚が蘇ってきました。
あのラーメンはどうなったか
「三角市場の中にすごく美味しい塩ラーメンを出す食堂があるんだ。行ってみよう。前は360円だったけど今は値上がりしているだろうな。しばらく行ってないけどまだやっているかなぁ」
私は興奮しながら友人を三角市場まで案内しました。
すっかり変わってしまった三角市場
十数年ぶりに入った三角市場。以前とは様子がすっかり変わっていました。
観光市場になっていたのです。
函館の朝市とか、桑園の場外市場とかと一緒です。
5,000円のウニ丼とか
入り口付近には以前はなかった食堂があり、「ウニ丼」「三色海鮮丼」などを3,000円とか5,000円とかで出していました。
「あの店ももう無いだろうなぁ」と思っておそるおそる市場の奥に入っていくと、以前食堂があったその場所なのか、それとも少しずれた場所なのか記憶が定かではありませんがラーメン屋がありました。
あったのはまったく別の店
でも全く別のたたずまいです。ショーウィンドウには風変わりなラーメンの食品サンプルがハデハデしく飾られていました。
「元祖カニラーメン 3,600円」
「オリジナル海鮮3色ラーメン 2,900円」
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来なきゃ良かったと思いました。
友達に事情を説明し、別の場所で食事をしました。
もうぜんぶ観光市場
今でも小樽の「新南樽市場(しんなんたるいちば)」などは場所が不便なので、半分は観光客ですが、半分は地元使いで成り立っています。だからそこそこいいものがそこそこの値段で買えます。
でも三角市場のような立地条件のいいところはもう全部観光向けです。
地元の人は行きません。普通のスーパーマーケットで買ったほうが良いものを安く買えるからです。
まぁ、昔を懐かしむ年寄の世迷い言です。
ごきげんよう。
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著者かぶとたいぞう拝。
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小樽は懐かしいのです。特に息子が6歳(22年前)、私の父親、妻、妻の両親と親子三代で夕食を食べた、かすべと言う居酒屋さんは、雰囲気も何を食べても最高なのでした。酒飲みの父親(17年前に77歳で他界)は特に上機嫌で酒もすすみ、使用した、ぐい飲みを記念に店主さんから頂きました(今も飾ってあります)。本当に良い美味しい家族の思い出なのです。
軍曹、お久しぶりです。
てっきりパタヤに残留していると思ってましたが、帰国されたのですね。
かすべですか。今度探して行ってみます。