【子供の頃】うちの隣にツブ焼きの店があった。その名も「みちくさ」。今あれば行きたい店だ

かぶとたいぞうです。

最近は自分が子供だった頃のことをよく思い出します。そしてそれを人に話したくなります。

昔話をするようになったら、もうジジイになった証拠ですね。



私が幼稚園に入る前

私が幼稚園に入る前に住んでいた家は、札幌市東区の、現在の東区役所付近でした。

当時は札幌駅北口から隣の苗穂駅付近まで、国鉄の官舎やアパートがずらっと立ち並んでいました。当時の国鉄は全国区でしたので、道外からも国鉄職員が出張でやってきました。その関係で今の東区役所付近には飲み屋が多く、「札東銀座(さっとうぎんざ)」と呼ばれていました。今は移転して場所が少しずれましたが、札東劇場という映画館があったぐらいにぎやかでした。

札東銀座(さっとうぎんざ)

夜になると裸電球を赤く塗ったうす赤い照明をつけるバーが軒を連ね、女性の黄色い声が絶えませんでした。札東劇場の裏には逆さクラゲのマークの「連れ込み旅館」もありました。

私はそんな環境で育ったのです。



右隣が「モンパリ」左隣りは「みちくさ」

私の家は普通の民家でしたが、むかって右隣が「モンパリ」というバー、左隣りは「みちくさ」という名前の一杯飲み屋でした。

「みちくさ」は北海道の「ツブ」という貝を焼いて食べさせる店で、カウンターに3人くらいしか座れない小さな店でした。

ツブ焼き

ツブは寒い地方でしか採れない貝なので、食べたことのない人には説明が難しいのですが、サザエのつぼ焼きをイメージして頂けると、それほど遠くないと思います。

つぶ貝ツブ貝:kabutotai.net

サザエのような苦味はなく、大きさは大人の男の握りこぶしくらいはあり、味は甘くて美味です。



大きなツブがあった

私の小さい頃は、まだ大きなツブが豊富にとれていたようで、大人の頭くらいの大きさのツブも珍しくはありませんでした。私が小さかったから大きく見えたのも否めませんが、大げさに言っているわけではありません。

今はもうそんな大きなツブは市場には出回りません。もしあったなら刺し身用で1万円は下らないでしょう。1万円でも安いと思います。

みちくさ

「みちくさ」の店主は「通い」でした。いつも夕方になると、おじさんが来て店を開け、外の一斗缶で練炭を焼き始めます。

ツブを焼く七輪のコークスの種火です。

客が入ると大きなツブ貝を選んで箱から取り出し、上手に身を取り出して食べやすい大きさに切り、また貝殻の中に入れて出汁醤油とショウガ、アサツキなどを入れて七輪に乗せて客の前に出します。



客は酒を飲みながらツブ焼きを食う

客はツブに火が通ったらツブを板の台か布巾の上におろし、冷めるのを待って食べます。熱いので、言えば店主がツブを布巾で掴んでおろしてくれます。

客はたいていは大人の男で、日本酒か焼酎を1杯か2杯飲んでツブを1つ食べて帰ります。

なぜ詳しいのか

当時5歳か6歳だった私がなぜそんなに詳しいのか。

それは、「みちくさ」がいつも入口のドアを開けて営業していたからです。

冬はドアを閉めていましたが、夏中ドアを開けていい匂いをさせてツブを焼いていました。匂いで客を誘う営業戦術だったのかもしれません。子供は暇だからよく観察するのです。



一度食べたこともある

それと、1度だけ母に連れて行ってもらったことがあったのです。あまりにも美味しそうな匂いだったので、母に駄々をこねて早い時間に父には内緒で行きました。やけどしないようによく冷まして食べたことを覚えています。

初めて食べたツブはとても美味しく、貝殻の奥の方に残った渦巻の部分まで箸でほじくって食べました。

ツブ焼きの値段

当時はツブが安かったこともあり、大きなツブのつぼ焼きが確か100円くらいでした。日本酒や焼酎は1杯30円か50円だったと思います。客単価は150円~200円ってところでしょう。

当時は食堂のラーメンがまだ50円~70円だったので、特別安い店だったとは思いません。回転が早いこともあり、むしろけっこう儲かったのではないかと思います。



今あれば行きたい

もし今そんな店があったら行きたいものです。もちろん値段は上がっていて当然ですが、目の前でツブを焼いて1杯飲むというところがいいです。

焼いたツブの香りがたまりません。思い出しただけでも焼けたツブのいい匂いと、焦げた醤油、ショウガのいい匂いが蘇ります。

ネーミングがいい

それと、なんといっても「みちくさ」という屋号がいいです。

昔のほうがネーミングのセンスがあったように思います。

今の店の名前はやたらと横文字が多く趣がありません。そうかと思うと、わざとらしい昔風の名前にしたり、漢字を多く使って、何というか、センスがないのです。



昔は小樽にもあったツブ焼きの店

昔は小樽にもツブ焼きの店がけっこうあったのですが、今はもうありません。どうしてなくなったのでしょうかね。ツブが高くなりすぎて商売にならなくなったのかもしれません。

居酒屋でツブ焼きもやっている店ならいくらでもありますが、ツブ焼きの専門店は最近見たことがありません。あれば匂いでわかります。

釧路には今もある

釧路には今でもツブ焼きの店がありますが、どうも小粒です。それに焼いたものを台に乗せて持ってくるスタイルなので醍醐味がありません。

少し高くてもいいから、「みちくさ」のような店があれば行きたいです。



誰かやって欲しい

誰かこのブログを読んだ人で、チャレンジ精神の旺盛な人がいたら、札幌で店を出してもらえませんか。「みちくさ」という名前も使っていいと思います。いちおう商標登録(サービスマーク)をチェックしたほうがいいですが。

私は冬中パタヤにおりますが、夏には札幌に帰りますから、店を出したらメールで教えて下さい。食べに行きます。

ごきげんよう。


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著者かぶとたいぞう拝。


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