かぶとたいぞうです。
料理の味にもストライクゾーンというものがあります。少し濃い味も、少し薄い味も結構ですが、濃すぎ、薄過ぎはだめです。ストライクゾーンを外れたら料理とは言えません。
プロの料理人の味付け
プロの料理人は相手の人相風体、職業、何をやってきた後なのか、疲れているのか元気か、その他相手が醸し出す雰囲気やその日の天気・天候、気温、などを総合的に勘案して、ストライクゾーンの範囲内でやや濃いめに、あるいはやや薄めに味付けすることがあります。
映画「タンポポ」で大滝秀治がスッポンをごちそうする時に、料理人に「今日のお客さん、アタリ強めに」と言うセリフがあります。アタリとは味、またはあじみの事です。
最近は薄味ばかり
最近は健康ブームも影響してか、薄味の料理を出す店が増えています。私も素材の旨味を活かした、あっさりした味付けは好きです。
ただ、ときおりストライクゾーンを完全に外した薄過ぎの味付けもあり、困惑してしまいます。
「味が濃過ぎる」と文句を言う人はいるが、「味が薄過ぎる」と文句を言う人はいない
「味が濃過ぎる」と文句を言う人はいますが、「味が薄過ぎる」と文句を言う人は稀です。
薄味を好む人は、上品で、お金持ちで、健康志向で、都会育ちで、頭のいい人だというイメージがあるようです。
逆に濃い味を好む人は、粗野で、肉体労働者で、貧乏で、不健康で、田舎もんで、頭の悪い人のイメージがあるようです。
女性は常に上品に見られたいと思っている
特に女性はいつも「上品」に見られたいと思っている人が多いから、味付けが薄く感じても決して「味が薄い」とは言いません。むしろ「薄味で私にはちょうど良い」と無理して言うのです。
料理店は女性に好まれようと思っています。お金を使う男性は、女性が行きたいという店に女性を連れて行くからです。
かくして女性に人気の店は総じて薄味の店が多くなるのです。
薄くてもいいが、薄過ぎはプロ失格
ただ、同じ薄味でもストライクゾーンギリギリならいいのですが、低すぎてワンバウンドの玉を投げてくる「自称プロ」や「通ぶった素人」が最近は目立つようになりました。
店の内装や雰囲気にお金をかけて、上品な接客をして、料理にもいい素材を使っているのですが、味はまったくなっていません。薄過ぎると言うか、味がほとんど無いのです。
せめて味の濃い古漬けでも添えてくれればいいのですが、そんな気の利いた付け合せもありません。
味が薄ければテーブルに乗ったオシャレな器の高級塩を使うようですが、それで料理と言えるのでしょうか。
味が薄過ぎるのは自信のない証拠
最近の風潮は、少しでも濃ければ「濃い」と指摘されます。薄くて文句を言う人はいません。
だから自信のない料理人にはストライクゾーンのど真ん中に玉を投げる勇気が無いのです。ぜったいに「濃い」と言われないよう守りに徹し、常に低め低めに投げているうちにワンバウンドの玉ばかり投げるようになったのでしょう。
味に自信がないので能書きでごまかす「なんちゃって高級店」
そんな料理人はプロ失格です。でも「いちおう高級店」ということになっているので、素材の産地だとか料理の由来だとか、そんな能書きばかり語って、いつも薄過ぎる料理を出すのです。それでも高級な雰囲気を好む「味オンチ」の常連さんはつくようです。本当に味の分かる人は行きませんが。
客にも原因はある
このような自信のない自称プロや通ぶった素人をたくさん作り出したのは、客にも原因があります。
ちょっとでも濃かったら無遠慮に「濃過ぎる」と指摘し、薄過ぎても「自分にはちょうどいい」と言って格好を付ける人が増えているからなのです。
でも、プロなんだから自信を持って味付けしないと
とはいえ、金をとって人様に料理を出すいじょう、揺るぎない自信と責任を持ってストライクゾーンのど真ん中に直球を投げて欲しいものです。
たとえ格好つけの客になんと言われようと、味の分かる人には分かるのですから。
ごきげんよう。
ヤマキのいりこだしは、かぶとたいぞうのおすすめです。
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著者かぶとたいぞう拝。
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