かぶとたいぞうです。
昔。まだ私が駆け出しの経営コンサルタントだったころ。札幌の円山にあるレストラン「モリエール」の店主、中道さんにお会いしました。
誰かの紹介だったと思います。
私は30歳を少し過ぎた頃
当時私は30歳を少し過ぎた頃で、中道さんは私より10歳くらい年上で40歳くらいでした。
当時中道さんはモリエールの他にレストランをもう2件くらいやっていました。
研修会をやって欲しい
各店のシェフや従業員を全員集めて社員研修のようなものをやりたいから講師になってくれとの依頼でした。
しかも1回きりの講演ではなく、週に1回くらいの間隔で連続何回かやって欲しいというのです。
どんな研修をしたいのか
レストランのシェフや従業員を集めて、いったいどんな勉強がしたいのか気になったので中道さんに聞きました。
すると、内容は任せる、何でもいいからやってくれと言うのです。
ますます気になって、一体どうして研修会をやりたいと思ったのか、どんな結果を期待しているのか、時間をかけてお聞きしたのです。
中道さんのことば
色々お聞きしましたが、簡単に言うと次のような趣旨でした。
みんなにいろいろなことを知ってほしい。料理だけではなく、いろいろな分野の教養を深めてほしい。
私は益々責任を感じて、後日内容案を作って中道さんに提案しました。その時も内容は任せると言われました。
「おまかせコース」かぁ
きっと料理で言うと「おまかせ」を頼まれたのだと思い、私は益々緊張しました。
結局、当時大通り西14丁目にあったレストランに、アイドルタイムである午後3時に全社員を集め、1時間くらいの研修会を5、6回くらいやらせて頂きました。
中道さんに何度も会いに行った
私は中道さんに興味を持ったので、研修会の期間中も中間報告という理由をつけて何度も会いに行きました。
中道さんからはいろいろなことを教わりましたが、一番よく覚えているのは「タニマチ」という概念でした。
タニマチ
私は「タニマチ」という言葉をその時初めて聞いたので、中道さんに意味を聞きました。
中道さんは「自分も正確な意味は分からない。でも相撲とか芸能界では応援者、支援者という意味で使われているようだ。スポンサーという言葉に似ているけど、タニマチは見返りを求めない純粋なニュアンスがあるから自分はタニマチという言葉のほうが好きだ」
というような感じのことをおっしゃいました。
さらに
また、こんなこともおっしゃいました。
「昔から優れた芸術家はタニマチの支援で芸術活動を続けることができた。タニマチの存在がなければ、せっかくの才能も活かしきれず経済的な理由で芸術活動を断念せざるを得なかった人も多かったろう」
「タニマチはパトロンとかスポンサーとは違って一方的に支援するだけで見返りは求めない」
研修会の真の目的が分かった
最後にこんなこともおっしゃいました
「実は自分もそういったタニマチに支えられてここまでになれた。実力だけではここまでは来れなかったと思う」
「うちの社員にもタニマチがつくような人になってもらいたい。そのためには人間的にも人に興味を持ってもらえるような人物になってほしい。だからもっといろいろなことを学んでもらいたくて、そのきっかけになるようにと今回研修会を思いついた」
そんな感じの内容でした。
私も中道さんから学んだ
「タニマチかぁ」
私もタニマチが付くような人間にならなければならないと強く思いました。
そのためにはもっと勉強し、懸命に努力し、何事にも真剣に取り組み、正直で約束を守り、人から好かれるような人にならなければならないと思いました。
30歳を少し過ぎた頃
私が30歳を少し過ぎた頃でした。
その後の私が経営コンサルタントとしてそこそこ成功できたのも、中道さんのおかげだと感謝しております。
ごきげんよう。
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著者かぶとたいぞう拝。
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