かぶとたいぞうです。
子供のころ、山田洋次監督の「男はつらいよ」に出てくる主人公の寅さんが、ヒロインと言うかかマドンナと言うか、女性に「ユニークなかたね」なんていわれる場面を見ました。
私はなんとなく、変わった人、変な人のことを婉曲に言っているのだなと思いました。
ユニーク=「ちょっと変わった」「普通ではない」と思っていた
以来、ユニークという言葉の意味は「ちょっと変わった」とか「普通ではない」というような意味だと思っていました。
私自身も若い頃は「とってもユニークな人」と言われることが多く、あまり嬉くはありませんでした。
学校を卒業してコンピューター会社に就職し、システムエンジニアになりました。
でも最初はプログラマーとしての経験を積まなければなりません。
プログラム用語としての「ユニーク」
3ヶ月半にも及ぶプログラム開発の研修期間中に、「ユニーク」という用語が何回も出てきました。
コンピュータープログラム用語としての「ユニーク」とは、1つだけ、他に無い、唯一の、という意味です。
ちなみに英語のuniqueもonlyと似たような意味が元の意味です。
電話番号がユニーク
身近な例では電話番号がユニークです。
ある電話番号がゾロ目など特徴的で変わっているという意味ではありません。すべての電話番号が1つしかないという意味です。
同じ電話番号の人が何人もいたら電話はできません。偶然他の国で同じ電話番号の人がいるかもしれないので、国際電話の場合は頭に国番号(日本なら81)を付けて、世界中で一件しかない番号とするのです。その場合、すべての電話番号は世界中でユニークだと言うのです。
顧客コードもユニーク
プログラム開発では、例えば顧客コード(顧客ナンバー)は他の顧客と同じだと検索や処理が重複してしまいます。
だから、他の顧客とは重複しないナンバーなり記号を使うのです。
たいていはシリアルナンバーといって、8桁なら00000000から始まって999999999までの番号を用意し、1つの顧客には必ず1つの番号を与え、他の顧客にはその番号を使わぬよう発行時には重複チェックをします。
そのように重複しない顧客コードはユニークであると言えます。
人間もユニーク
話が長くなりました。
私たち人間もすべてユニークな存在です。世界中でユニークです。
私だけが特にユニークなのではなく、このブログを読んでいらっしゃるすべての読者がユニークなのです。
遺伝子はアデニン、チミン、グアニン、シトシンの4つのタンパク質の組み合わせでできています。その組み合わせが多岐にわたり複雑なので、人間のDNAは必ずユニークなのです。
さらにその上、生まれてからの記憶とそれに基づく性格が作られますから、たとえクローン人間を作ったとしても個々にユニークなのです。
人間はみんなユニークなのに
このように人は誰でも生まれながらにユニークな存在なのですが、ユニークとか個性が取り沙汰されるのは、「みんなと同じでなければならない」という風潮や教育のせいで画一化、脱個性化した人が多いからなのかもしれません。特に日本はそうです。
「個性的な装い」と言いながら、流行のファッションをみんなが着るのだから、個性的であるわけがありません。
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なぜ人間のDNAがユニークなのか
ところで、なぜ人間のDNAがユニークなのかと言うと、生物学的には、天変地異など大きな環境変化が起きた時、人間が全滅しないようにするためなのです。ちなみに人間のみならず、雌雄の別のある高等生物は全てそうです
すべての人間が同じ性質、同じ弱点を持っていたら、全員死ぬかも知れないのです。
地球温暖化でみんなが死んでも
地球はいま温暖化に向かっているらしいですが、仮に地球上が灼熱地獄になっても、高温に強い人は生き残るかも知れません。そんな感じです。
だから、高温に強いばかりでなく、性格も含め、世の中には色々な人がいた方がいいのです。
全ての個性がすばらしい
例えば、今の世の中では「障がい者」と言われている人が、人類滅亡のピンチの時には生き残るかもしれないのです。
今は肥満と言われている人が、環境が変われば一番長生きするかもしれないのです。
個性に良し悪しは無く、すべての個性が素晴らしいのです。
決してファッション雑誌で紹介されるようなスタイルが優れた個性ではありません。
そもそも、個性はユニークであり、世の中に1つしかなく、それ自体が素晴らしいものなのですから。
寅さんは案外モテる
私は「男はつらいよ」の寅さんを見ているといつも腹が立ちます。あんな人が身内にいたら厄介だろうなぁ、と思います。
だけど、平時は厄介でも、何かあった時に、あんな人が生き延びるのかも知れないと思うのです。
人は自分とはまったく逆の人、自分に無い特徴を持つ人に惹かれます。だから寅さんは案外女性にモテるのかも知れませんね。
ごきげんよう。
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著者かぶとたいぞう拝。
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