かぶとたいぞうです。
私が今長期宿泊している那覇のホテルではBS放送が見れます。
テレビを見る習慣がない私ですが、珍しがって昔の時代劇とか映画を時々見ます。
BSで高倉健主演の「駅 STATION」がやっていた
先日は高倉健主演の「駅 STATION」がやっていたので久しぶりに見てみました。
私は高倉健のファンなので、高倉健の出る映画のビデオやDVDはほとんどすべて持っています。「駅 STATION」ももちろん札幌の家に帰ればいつでも見ることができます。
でも「いつでも見ることができる」と思うとめったに見なくなるものです。「駅 STATION」はかつて5回ぐらいは見たはずですが、最後に見たのはもう何年も前だと思います。
それでホテルの部屋のBSで久しぶりに見てみようと思ったのです。
テレビ放送向けに大幅にカットされた「駅 STATION」
見ていると、ところどころ大幅にカットされていることに気づきました。
「駅 STATION」は2時間12分の大作です。きっとコマーシャルなどの時間を加えるとBS放送の時間割に合わなかったのでしょう。けっこうカットされていました。
カットされたおかげでストーリーが分かりやすかった
でも、カットされた場面は大筋にあまり関係のない場面なので、かえって贅肉が取れ、ストーリーが理解しやすくなったかも知れません。
「駅 STATION」は殺人犯を追う刑事(高倉健)の物語ですが、女性3人の人生を描いたオムニバスのような不思議な描き方をしています。
だからストーリーがやや入り組んでいて、他の高倉健の映画に比べると分かりづらい点があります。
第3話「桐子」
第3話「桐子」は倍賞千恵子が飲み屋の女主人の役で登場します。
桐子は増毛で小さな飲み屋をやりながら、殺人犯として逃亡中の男を待ちます。
偶然出会った刑事(高倉健)といい仲になるのですが、そこに逃亡中の男が帰ってきます。
刑事は雄冬へ
刑事は気を利かせて場を外し、そのまま雄冬の実家に帰ります。
雄冬の実家からフェリーで増毛に戻ると桐子がフェリーターミナルで刑事を待っていました。刑事が札幌へ行ってまた戻ってくるというと、桐子は男とは別れたと嘘をつきます。
急転直下
刑事は札幌へ戻る列車の中で、逃亡中の殺人犯の情報を聞き、増毛に戻って桐子が匿う男を撃ち殺します。
桐子が男のことを警察にたれこんだのです。
事情聴取を受けた桐子は、自分が男を匿っていたと自白します。警察官が「匿っていたのにどうしてタレこんだのか。矛盾しているではないか」と言います。桐子は「男と女ですから」と答えます。
男と女ですから
私は過去5回もこの映画を見ていながら、この言葉の意味を理解していませんでした。
単に「女心は複雑なんだなぁ」ぐらいにしか思っていませんでした。
ところが今回、大幅にカットされた「駅 STATION」を見たおかげで初めて気づきました。
桐子の女ごころ
桐子は、刑事(桐子は営林局の職員だと思っている)が札幌から戻ったら刑事と一緒になろうと思ったのです。それで自分にまとわりつく、あるいは離れられない「男」との縁を切るために警察に売ったのだと思います。
なかなか離れられない腐れ縁の男を警察に捕まえてもらって、高倉健が帰ってきたら何食わぬ顔で一緒になる気だったのだと思います。
結果として、自分が一緒になろうと思っていた男が、なんと犯人を追う刑事だったという落ちです。
監督は降旗康男、脚本は倉本聰
監督は降旗康男、脚本は倉本聰。
第一話の直子は浮気をして刑事に捨てられ、第二話のすず子は刑事を騙して兄を匿い、第三話の桐子は前述の通り。
女のずるさ、したたかさ、浅はかさ、はかなさ
どういう意図か分かりませんが、女性の浅はかな面ばかり強調して、最後にはすべて不幸になるストーリーなのです。
全編を通じて、女のずるさ、したたかさ、いじらしいほどの浅はかさ、はかなさを力いっぱい表現しようとしているフシがあります。
唯一、古手川祐子演ずる刑事の妹だけが幸せな結婚をしますが、その妹も痴呆症のおばあちゃんからお年玉を何回ももらうよう息子に仕向けるのです。
「駅 STATION」ノーカットDVD
何回も見たはずの映画なのに、久しぶりに見たら新解釈と新しい感想が生まれるものです。
まだ見てないかた、しばらく見てないかたにおすすめします。
ごきげんよう。
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著者かぶとたいぞう拝。
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