【書評】「赤ひげ診療譚」(山本周五郎)を読んで(黒澤明監督の映画「赤ひげ」の原作)

かぶとたいぞうです。

山本周五郎の「赤ひげ診療譚」(新潮社、昭和39年)を読みました。面白かったです。

かなり前に黒澤明監督の映画「赤ひげ」を見ましたが、原作を読んだのは初めてでした。



映画「赤ひげ」も良かった

映画の方も、三船敏郎演ずる「赤ひげ」がハマリ役で、若き日の加山雄三もフレッシュでとても良かったです。

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原作「赤ひげ診療譚」は厚みがある

しかし、原作のほうがストーリーに厚みがあり、「赤ひげ」という人物をより深く知ることができます。

また、ストーリーの各所に散りばめられた登場人物の人間模様が実にたくみで面白かったです。



「赤ひげ診療譚」は8つの短編で構成

「赤ひげ診療譚」は8つの短編で構成されており、それぞれ完結した話として読み切ることもできます。しかし、各短編が微妙に交叉し、全体的に厚みのあるストーリーをなしていますので、通して読むとより面白いです。

ただ、各短編同士のつながりが少し複雑なので、頭を使わないと理解できない所もあるかもしれません。このような構成で短編をつなぎ、一つの壮大なドラマに仕立てることのできる山本周五郎氏はやはり天才だと思います。私には決してこのような文章は書けません。

期待したストーリーと違った点

ただ、読んでいる途中で、アテが外れたというか、期待していたストーリー展開とは違った部分が一つだけありました。

第1話「狂女の話」に登場した狂女「ゆみ」と第4話「三度目の正直」に登場した「猪乃」が最後には一緒になると私は勝手に想像していたのです。



「ゆみ」と「猪乃」

「ゆみ」は男に言い寄られると男を殺し、「猪乃」は女に好かれたり言い寄られると相手を嫌いになる。だから「ゆみ」と「猪乃」ならいい組み合わせで、最初は淡白に、そして自然に仲良くなり、「ゆみ」の病気(狂気)も治る。「赤ひげ」はそこまで先を読んで「猪乃」を養生所においた。

そういうストーリー展開を期待したのです。

勝手な想像による先読みですが

まぁ、文才のない私が浅知恵で文豪山本周五郎の作品にケチをつけてはなりませんが、そんなストーリーを勝手に想像して先読みしたわけです。

そんなストーリーもあって良いと思うのです。



もう一回読む

「赤ひげ診療譚」は二度読みする価値がありそうです。少し間を空けて、もう一度最初からじっくり読んでみたいと思っています。

新たな発見があるかもしれません。「猪乃」が最後に「お杉」と一緒になる必然性を見つけるかもしれません。

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ごきげんよう。


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