【風が吹けば桶屋が】米国のインフレが収まれば金利が下がって株価が上がってドルが下がって円換算した配当は?

かぶとたいぞうです。

昨夜は感謝祭の後のブラックフライデーで米国株式市場は薄商いの中、それほど大きな動きはありませんでした。

市場が始まる前に「今日はほんのちょっとだけ上がるか、あるいは値動き無しに終わるだろう」と思っていましたが、まったくその通りになりました。



昨夜の米国株は動かず

これといった事件もニュースも無かったので、一昨日のFOMC議事録要旨が良かったのを好感して少し上がった流れから何も変わっていないようです。

こんな日は無理に株価解説をする必要はありません。

同じ米国株の話でも、今日は長期的、包括的視座に立ったお話をします。

+++

風が吹けば桶屋が儲かる

「風が吹けば桶屋が儲かる」という言葉があります。何かが起これば連動して別の何かが変化し、しまいにはまったく関係のなさそうなものまで影響を受けるという流れをコミカルに説明した小話です。こじつけ話という意味で使われる場合もあるようです。

風が吹けば桶屋が儲かる:kabutotai.net

そんな話にならって、米国のインフレが収まればどうなるかを推測したいと思います。



インフレが収まれば何がどうなるのか

米国のインフレは、まだ真っ最中です。今のところは収束の方向には向かっていません。

しかし、先日のFOMC議事録要旨によれば、FOMC参加者のほとんどが、「近いうちに利上げペースを減速させる議論を始める」可能性を述べているようです。

インフレの進み具合が少しだけ遅くなったので、そのうちに収まるかもしれないと思っているのです。

さて、インフレが収まったら何がどうなるのか。

米国の金利が下がる

まず、FOMCメンバーが言うように、利上げペースを緩めます。

そして物価上昇が止まれば、利上げをストップし、さらに今度は利上げではなく利下げに向かいます。

来年の春になるか、来年の秋になるか、再来年以降になるかは分かりませんが。



ドル/円は下がる

利上げがストップ、もしくは利下げに向かえば、ほぼ間違いなくドル/円は下がります。

現在は円金利がゼロで固定なのに、ドル金利がどんどん上がっているので、日米金利差でドルが上がっているのです。だからインフレが収まって米国金利が下がれば、他に特別な要因がない限りドルが下がって円が上がるはずです。

米国株価はどうなるか。

米国株価は上がる可能性が高い

金利と為替相場ほどの明確な相関はありません。

しかし、一般的に金利が下がれば、企業の投資も個人の消費も伸びます。例えば住宅ローンの金利が下がれば家はよく売れるようになるし、カードローンの金利が下がれば、ローンでものを買う人が増えます。

そうなると景気が良くなるので、景気敏感株ほど上がります。



ハイテク株、グロース株、バリュー株

ナスダックに多いハイテク株、グロース株も上がる銘柄が増えるでしょう。金利が下がれば債券より株のほうに人気が集まります。

バリュー株はそれほど動かないかもしれません。優良企業はキャッシュが豊富なので、そもそも借金をする必要がありませんから金利が下がっても関係ありません。

しかし世の中全体の景気が良くなれば、ものがよく売れます。そして業績も良くなるので、バリュー株も釣られて上がっていく場合が多いと思います。

つまり

ここまでを要約すればこうなります。

米国のインフレが収まれば米国の金利は必ず下がる。

米国の金利が下がれば、ほぼ間違いなくドルが下がって円は上がる。

米国の金利が下がれば、米国の株価が上がる可能性が高い(しかし必ず米国の株価が上がるとは限らず、ドルが下がる確率に比べると少し低い)

+++



我々日本の米国株長期投資家はどうなるのか

さて今度は、米国のインフレが収まると、我々日本の米国株長期投資家はどうなるのかを考えてみましょう。

まず、値上がりした米国株を売る場合はどうか。

値上がりした米国株を売っても、それほど儲からないかもしれません。

株を売って得たドルが安い

株価が30%上がっても、ドル/円が30%下がれば円換算した利益は同じです。

私は米国株を売る気はありませんから関係ないですが、米国株が上がってもドルが下がれば意味がないのです。株を売って得た利益は円に両替せずに、そのままドルで持っているか、米国株以外のドル資産に投下して、次にドルが上がった時に円に替えるほうが得だと思います。米国株で持っていてドルが上がるまで待てば、ドルが上がった時には逆の理論で米国株が下がっているかもしれません。



配当はどうか

次に、米国株を売らずに配当を得る場合はどうか。

これもそれほど儲からないかもしれません。

配当は株価ほど上がったり下がったりしません。株価が上がっても配当は変わらない場合が多いです。

米国のインフレが収まり米国の金利が下がり、株価が上がっても、もらえる配当は同じです。

配当を再投資、または生活費に

その配当を米国株に再投資しようと思ったら株価が高いので買える株数は少なくなり効率は落ちます。

配当を円に両替して日本での生活費に充てようと思ったら、ドル安円高でもらいが少なくなります。

つまり、インフレが収まって株価が上がっても、米国の投資家は儲かりますが、我々日本の米国株長期投資家は儲からない可能性が高いのです。



米国のインフレが続くほうが日本の米国株長期投資家にはいい

米国のインフレが収まって米国株が上がることを願っている人が多いですが、実際はこのまま米国のインフレが続くほうが、我々日本の米国株長期投資家にはいいのです。

米国のインフレがこのまま続くとどうなるか。

米国のインフレは良いことずくめ

配当再投資で安く米国株が買えるので再投資効率が良くなり、ますます配当が増えます。

その増えた配当を円に両替すると、ドルが高いので日本円のもらいは多くなります。

再投資にもよし、生活費にあてるにもよし。いいことずくめなのです。



ただし

米国のインフレが長期化して景気が落ち込んで企業業績が悪化し、会社が倒産したり配当が下がったりすれば元も子もありません。

しかしそこまで悪化しないなら、実は私たち日本の米国株長期投資家には米国のインフレは歓迎なのです。

日本もインフレに入っていますが、米国ほど物価が上がっていないから高いドルは有利なのです。

一番理想的なシナリオ

都合のいい話をすると、一番理想的なシナリオはこうです。

米国のインフレが収まり、米国の金利が下がって米国株が上がる。米国企業の業績が上がっていき、徐々に配当も上がっていく。ドルは円に対して一時的には下がるが、日本経済のファンダメンタルズ低下により円が下がり、結局はドルが高止まりして円換算の配当がどんどん増えていく。

図々しいかもしれませんが、私はそうならないかなぁ、と思っているのです。

読者のみなさんにとって、先々を考える際のヒント、頭の体操に役立てば幸いです。

ごきげんよう。


【関連性の高い記事】



【かぶとたいぞう有料ノート】

この記事があなたのお役に立った場合、下の「いいね!」をクリックして頂けると、たいへんはげみになります。

【あわせて読みたい】


同じカテゴリーの最新記事5件


「カブとタイ」をいつもお読みいただき、まことにありがとうございます。
著者かぶとたいぞう拝。


記事のカテゴリー/タグ情報

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

*