かぶとたいぞうです。
ドル高(円安)が続いています。今日はドル高と株価と配当の複雑な関係について考察します。
円安ドル高は米国株を買うタイミングとして損か得か
今後ドル高が続くのか、またはドル安に転じるのか。そのようなことは誰にも分かりません。予想はいつも外れます。
トランプ氏が大統領に当選した時もそうでした。エコノミストもニュースもこぞって、「トランプ氏が大統領になったら必ずドル安になる」と断言していました。ところが実際にトランプ氏が当選すると、ドルは瞬く間に上がっていきました。
だから意味のない予想よりも、そうなったらどうなるのかというシミュレーションのほうが大事です。
ドル高(円安)時の株価と日本円換算投資額のシミュレーション
仮に今日、PM(フィリップモリス)の株価が78ドルだとします。外国為替相場は1ドルが112円だとします。今日PM株を1株買ったことにしましょう。日本円での投資額は
- 78ドル×112円=8,736円でした。
10日後、PM(フィリップモリス)の株価が下がり76ドルになったとします。こんなことならもう少し待って買うべきだったと後悔しますが、その日の外国為替相場はドル高が進み、1ドルが115円になっていたとします。10日後にPM株を1株買えば
- 76ドル×115円=8,740円です。
今日 | 10日後 | |
PM株 | 78ドル | 76ドル |
ドル相場 | 112円 | 115円 |
投資額 | 8,736円 | 8,740円 |
高/安 | 安い | 高い |
株価は78円から76円に下がりましたが、それ以上にドルが上がったので、日本円換算では78円で買っておいて正解でした。
ドル高は米国株を買うタイミングとして悪材料か
株価の値上がりを期待して短期売買をする場合は、為替差益、為替差損がもろに影響します。ドルの安い時に買ってドルの高い時に売ったほうが有利です。逆に、ドルの高い時に買ってドルの安い時に売れば、せっかくの株の売却益が為替差損でふっ飛んでしまいます。
では、長期保有の場合はどうか。特に私のようにバイ&ホールド(一度買ったら一生持ち続ける)型の長期投資の場合は、売買益は関係ありません。関係あるのは配当のみです。
つまり、配当が支給される日にドルが高いのか安いのかが重要です。もちろんドルが高ければ高いほど、円換算した配当金は高くなります。米国株を買う時にドル高だったとしても、配当をもらう時にもっとドル高なら悪材料にはなりません。
外国為替相場と円換算配当金、配当率のシミュレーション
上の例の続きです。数ヵ月後、PMの配当が入ってきました。1株につき0.91ドルの配当でした(直近の税引後実配当額を使っています)。その日の外国為替相場はさらにドル高が進み1ドル120円になっていたとします。
買った時はドル高が進むとは思っていませんでしたので、期待する配当は日本円換算で
- 0.91ドル×112円=101.92円でした。
ところが、思いがけずドルが上がったので実際に入った配当は円換算で
- 0.91ドル×120円=109.20円でした。
購入時 | 配当時 | |
ドル相場 | 112円 | 120円 |
配当額 | 101.92円 | 109.20円 |
円換算配当率 | 4.666% | 5.000% |
*円換算の配当額も配当率も税引後
配当に関しては、ドル高は有利に働きます。
外国為替相場と株価と配当の関係は、実際にはもっと複雑
このように長期保有の場合、ドル高は買う時には損なように思いますが、配当をもらう時には得なので往復トントンのような気がします。
しかし複雑なのは、株を買ってから配当が入るまでにタイムラグがあり、また、配当はその後も長期間入るので、長期的なドル相場が決め手となることです。今後ずーっとドルが高ければ有利ですが、ドルは上がったり下がったりするものです。
また、今後株を買い足さないなら別ですが、今後も株を買い足すなら、ドル高は配当には有利だけど新規購入時には不利です。
さらに、配当はドルで入ります。配当が入ったら直ちに円換算して生活費に当てるなら上記のシミュレーション通りですが、配当をドルのまま再投資に使う場合、円換算のシミュレーションは無意味です。
老後の生活費を目的とした理想的な投資パターン
結論から言うと、外国為替相場と株価と配当の関係は複雑過ぎるので考えないほうがいいです。単純にドルベースで考えればいいでしょう。今後ドルが上がるか下がるかは誰にも分からないのですから。
望んで得られることではないですが、老後になって振り返った時、結果的に次のようになっていれば理想的です。
- 米国株を買っている間は、ドルが比較的安かった
- その後徐々にドルが上がっていった
- ドルが高止まりになった時には既に米国株を買い終わっていた
- 配当で老後生活をしている間はずっとドル高が続いた
予想は無意味ですが、長期的にはドル高になってもおかしくはありません。
日本は少子高齢化対策をぜんぜんやっていません。このままでは産業が将来大いに発展する可能性は残念ながら低いです。「安全資産としての円」という言葉も最近は疑わしく聞こえます。
ドル相場は複雑な動きをしますので、一本調子で上がり続けることはないでしょう。一回下がったら、その時に度胸良く買えるかどうかがポイントです。
ごきげんよう。
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著者かぶとたいぞう拝。
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