かぶとたいぞうです。
今日はまた久しぶりに今までの旅を思い出しながら、おすすめの場所を紹介したいと思います。
今は少し経済と情勢が不安定になって行きづらいかもしれませんが、ベネズエラの奥地、ギアナ高原にあるエンジェルフォール(エンジェル滝)です。
エンジェルフォールは世界一の落差
水量では米国のナイヤガラフォールが世界一ですが、滝の長さ(落差)ではこちらが世界一です。
私は10年位前に行きましたが、情勢の良い時に行っておいて良かったと思います。
ベネズエラの玄関口は首都カラカスです。ベネズエラは赤道に近いので年中暑いのですが、カラカスはけっこう高度が高いので涼しいところです。夜は寒いくらいです。欧米風の街並みです。コロンビアの首都ボゴダと似ています。
エンジェルフォールの場所は下の地図で赤いマークを付けたところです。ちょっと南(下)に行くとアマゾン川を隔ててブラジルです。
カラカスからプエルト・オルダス経由でカナイマへ
私はカラカスに5日くらい滞在して街を見た後、市街地の適当な旅行代理店へ行き、エンジェルフォール行きの旅行を手配してもらいました。
旅行代理店からはエンジェルフォールのあるカナイマ湖までの移動手段のみ手配するので、ホテルなどは現地で適当に決めてくれと言われました。カナイマ湖の周辺には安いインディアン部落から高級ホテルまでいくらでもあると言うのです。
カラカスから小型の飛行機でプエルト・オルダスまで行き、プエルト・オルダスでセスナ機に乗り換えてカナイマまで飛びます。この辺まで来ると、空の上からギアナ高原独特の地形が見られます。
ギアナ高原は17億年ほど前の先カンブリア時代に形成された古い楯状地です。
長年の隆起と浸食の結果硬い岩盤が取り残され、絶壁に囲まれたテーブル状台地(先住民の言葉でテプイtepui:神々の家)になったのです。
これらの地形を飛行機の窓から見るだけでも結構な見物になります。
カナイマ湖の絶景に息を呑む
カナイマに着きました。小さな飛行場を出ると、何組かのホテルの呼び込みがいました。その中にインディアン部落が経営している大部屋があったので、面白そうだと思ってそこに決めました。大部屋まではトラックの荷台に載せてもらいました。カナイマ湖に面した一番安い宿泊所です。
カナイマ湖に到着すると、思わず息を呑むような美しい景色が待ち受けていました。「来て良かった」と思いました。
エンジェルフォールにまで行かなくとも、ここだけでも充分かなぁ、と感じたくらいです。
インディアン部落の大部屋に泊まる
とりあえず大部屋に3泊の予定で泊まりました。個室が1部屋ありましたが、大部屋に泊まりたいと思いました。
シーズンオフだったからなのか、客は少なかったです。私以外に3人でした。1人はベルギーから来た若い男性、他の2人はドイツから新婚旅行で来た若いカップルでした。カップルは個室に泊まったようでした。
大部屋は小学校の体育館くらいの大きさで、高床と柱と屋根しかありません。壁が無いので、すぐ外です。虫でも何でも入ってきます。雨風がしのげるだけです。
広いスペースにハンモックがたくさんぶら下がっており、好きなところに寝ればいいようです。混雑時はここに100人くらい寝るようです。ハンモックで寝るのは、なにも気分を楽しむためではありません。虫や蛇から身を守るためです。
旅行客はここに泊まってエンジェルフォール行きのボートが出るのを待つようです。ボートは10人そろわないと出ません。繁忙期は毎日出るらしいのですが、この時期は人数が揃わず、何日も待つ可能性があると言われました。それで3泊の予定にしたのです。
エンジェルフォール行きのツアーは近くのホテルが手配していて、ある程度人数がそろったら連絡が来ます。私はすぐに予約しておきましたが、ボートが出たのは到着して2日後でした。
その大部屋には結局、到着した日と翌日の夜、エンジェルフォールに行った日の夜、そして1泊延長して次の日の夜、計4泊しました。4泊目は若いカップルが帰ったので個室に寝ました。
仲良くなったベルギーの男性
その間、ベルギーの男性と仲良くなりました。毎晩2人で酒盛りをしました。
近くの売店にビールが売ってました。初日、私が買ってきたビールをベルギーの男性に1本あげました。すると、2日目の夜はベルギーの男性がビールを4本買ってきて私に2本もくれました。
3日目は私が大量に買って・・・そんな感じでお互いおごり合いました。
3日目はドイツの新婚カップルも加わり、4人でダンスをしたり歌ったりして大いに酔い、大いに楽しみました。他に何も楽しみの無い所だったので4人しかいない客はすぐに仲良くなることができました。
ハンモックに3日寝たのでハンモックの上手な使い方もマスターしました。ハンモックは普通に寝ると背中が丸まって痛くなるので、斜めに寝るのが安眠のコツです。
カナイマ湖の探索、エンジェルフォールのツアー
話は戻りますが、到着の翌日はすることがないのでインディアン部落の若者の案内で付近を歩きました。手漕ぎ船でカナイマ湖を渡り、カナイマ湖の滝の下をくぐり、滝の上に出て山を歩きました。これだけでも充分な冒険でした。
その日の夕方、次の日(3日目)にエンジェルフォール行きのボートが出るという知らせを受けました。人数が8人しかそろわないから少し割高になるけど、それでも良ければ明日早朝出発するというのです。もちろんOKしました。
ベルギーの男性は翌日のエンジェルフォールには行かないようです。次回10人揃うのを待って少しでも安く行きたいと言っていました。彼は3ヶ月ぐらいの長期旅行で来ているので時間はいくらでもあると言います。
出発は早朝5時です。4時には起きて、4:30には主催するホテルにむけて大部屋を出ます。
この日ベルギーの若い男性とは明るいうちから酒盛りをしたので、午後10時には切り上げ、少々興奮しながら早めに寝ました。
屋根しかない体育館ぐらいの大部屋に私とベルギーから来た若い男性の2人。聞こえてくるのは虫の声とトカゲが歩く音だけです。酒が入っていたのでそんな音も気にせず、すぐに眠れました。
いざ、エンジェルフォールへ
翌日、早朝4時に起きて準備をし、主催するホテルへ向かいました。すでに7人のメンバーがホテル提供の粗末な朝食を取っていました。
テーブルにあるのはコーヒーと塩味のクラッカーのみ。当時コーヒーが飲めなかった私は水を飲んでクラッカーを喉の奥に流し込みました。欧米人はよくこんな朝食を食べられるなと思いました。
7人のうち5人はアルゼンチンから来たファミリー、他にフランス人の若い女性1人、米国から来た老人男性1人、それに私を足して計8人です。
粗末な朝食が終わると一行は各々自己紹介し、地元のインディアンの人たち3人が迎えに来て、カナイマ湖からボートを出しました。
案内する地元のインディアンの人たち
この辺の川は全て繋がっていて、アマゾン川を経てブラジルまで行くことが出来るようです。これらの水路を熟知した地元のインディアンの人たちが、昔からこのへんの案内で生計を立てています。
ボートは縦長の13人乗り。後ろに船外機(プロペラ)が着いています。横2人が座れる板が6枚、一番後ろに船頭さんの座るところがあります。
カナイマ湖を出発したボートは細い川に入って上流へ向かいます。途中、休憩かたがた岸に降り、付近の案内をしてもらいながら少し歩きます。その後またボートに乗り上流へ進みます。
出発してから2時間ほど進んだ平らな場所に小屋があり、案内人のうち2人がクーラーボックスを持って降りました。ここで昼食の支度をしてみんなの帰りを待つと言います。
船頭さんを含めた残り9人は細い川をさらに上流へと向かいます。そして、きれいな玉砂利の中洲で船を止めて、そこから浅い川を渡って山へ入っていくのでした。
札幌の藻岩山くらいの高さを登る
ボートを降りて、エンジェルフォールが良く見えるところまで歩くのです。山を少し登るとは事前に聞いていましたが、歩いているうちにどっと汗が噴き出してきました。
途中から険しくなる山道を歩くこと2時間。やっと山の中腹のビューポイントに到着した時は汗だくでした。私は先頭から少し遅れてビューポイントに到着しましたが、米国の老人はまだずっと後ろでした。
それほどの山ではないと思ってサンダルで行ったのですが、けっこう険しい山でした。札幌の藻岩山(標高531メートル)くらいの高低差はありました。
山の中腹、エンジェルフォールの絶景
山の中腹から見たエンジェルフォールは絶景でした。長い長い滝の水は途中で霧になって舞い上がるので、この辺まで来ると常に霧雨が降り、汗ばんだ体には涼しいのです。
ビューポイントは崖になっており、時折谷底から冷たい風が吹き上げてきます。覗き込むと谷はどこまでも深く、みぞおちあたりがきゅっと引き締まる思いです。思わず足がすくみます。
世の中には絶景とか秘境とか言われるところはたくさんありますが、本当の秘境は苦労して行かなければならない所にあります。
エンジェルフォールは行きづらいからこそ秘境
エジプトのミラミッドもインドネシアのコモド島も誰でも簡単に行けます。交通機関が発達し、近くにコンビニもホテルもあります。
しかし、エンジェルフォールは行くだけでも大変なので、テレビ番組にもあまり登場しません。テレビカメラを持って川を進み、この山を登るのが大変だからです。だから、どのテレビ局も簡単に行けるインスタントな秘境ばかり特集するのだと思います。
+++
エンジェルフォールを見た後、一行は山を下り、きれいな中洲に停めたボートまで戻りました。米国老人が膝をかばいながらゆっくり降りるので、私も彼に歩調を合わせてゆっくり降りてきました。おかげで米国老人とも仲良くなりました。
帰りはバーベキューのおもてなし
きれいな中洲で少し休憩した後、一行はボートで川を下りました。案内クルー2人が途中でボートを降りた地点まで戻ると、焚き火に鶏の丸焼。煙が上がり、ジュンジュンと音を立て、とてもいい匂い。バーベキューの用意がすっかり出来上がっていました。
朝食が粗末だったので食欲満点。8人はワイワイ、ガヤガヤすっかり打ち解けていいランチとなりました。特にアルゼンチンから来たファミリーのパパは鶏の事をトンビだと冗談を言って大はじゃぎでした。
何が面白いのか分かりませんが、日本語ではトンビの事を何と言うのかと聞かれて「トンビ」だと教えると、鶏肉を一口食べて「トンビー!」と叫んで、家族で大笑いしていました。愉快な事は結構なことです。
その後はボートでゆっくりと川を下り、カナイマ湖までもどり、午後3時にはホテルにて解散。いいツアーでした。
早朝出発して早く戻るのは、万が一の事が有った時の為だと思います。山でケガや遭難すると、救助に時間がかかり、夜になると真っ暗にになってしまいます。
あの日の念願
エンジェルフォールから戻った後、3日目の夜は前述の通りドイツのカップルも交えて大宴会でした。
4泊目、最後の夜もベルギーの男性とは夜遅くまで酒を酌み交わしました。彼とは不思議と気が合い、何時間話していても飽きませんでした。寝る前に、「またいつか南米のどこかで会おう」とかたい握手をしました。
彼はもう2~3週間カナイマ湖にいて、散歩したり、ボーっとしたり、本を読むと言ってました。
当時の私は3週間程度の休暇が精一杯だったので、彼のような3ヶ月の旅行がとてもうらやましかったです。欧米人はそれぐらい普通です。
いつか私も数ヶ月単位の海外滞在ができるようになりたい、と本気で念願しました。
私は今、ようやくそれを実現できるようになりました。あの日の念願が叶ったのですね。
ごきげんよう。
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著者かぶとたいぞう拝。
記事のカテゴリー/タグ情報
エンジェルの滝
行ってみたい所の一つです。
ブン太様
今はベネズエラの情勢が不安定ですが、治安さえ心配無ければ、逆に両替レートがいいので、有利な旅ができるチャンスだと思います。
もし機会があれば行ってみて下さい。おすすめします。