こんにちわ。かぶとたいぞうです。
「あんたも経営者なら、とにかく借金はしないように」と厳しく言われたことがあります。京都の老舗の呉服メーカーの会長のことばでした。
長く事業を続ける秘訣は「借金をしないこと」
たしか札幌市内で着物を売る会社が開催した呉服フェアーで、その京呉服メーカーの会長が招かれて、冒頭で短い挨拶をして、その後私が記念講演をしました。講演後の簡単な食事会でのひとコマでした。
あれは私がまだ30歳代でバリバリ経営コンサルの仕事をやっていたころです。
30台と言えばイケイケどんどんです。借金も財産のうち、借りれるものなら何でも借りて、店舗出店に、新製品開発に、優秀な社員の獲得に、必要な機材の導入にと、どんどん金を使っていました。
静かな声で私に助言をしてくださった初老の紳士は、京都の100年以上も続く老舗呉服問屋を経営しているかたでした。長く事業を続ける秘訣は「借金をしないこと」と断言していました。
借金が衰退の元凶
会長はさらに「あなたは経営コンサルタントなのだから、自分の仕事に応用するのみならず、関与先など他の社長にも必ず伝えて下さい。これも何かの縁だから。いいですか、借金は絶対にしてはならない。経営者は借金をするから悪くなる。一番大事な時間は、お客様とのお付き合いや商談の時間です。社員と話す時間です。それらの大事な時間を割いてまで銀行員と後ろ向きの話をする必要はない。資金繰りに頭を悩める時間があったら、新商品や新サービス、お客様に喜んでもらう企画をもっともっと考えたほうがいい。
しつこいようですが、ぐれぐれも借金はしないように。借金さえなければ会社はいくらでも成長します。借金が衰退の元凶なのです。あなたは若いから見込みがある。絶対に忘れないで下さいよ」と私の手を握って話してくれたのです。
私は借金をしなかったので事業が30年続いた
その後、私の会社はそれほど借金をする必要がなくなり、意識して借金を全て返済し、その後は借金を作りませんでした。
「量入以制出」(いるをはかりていずるをせいす)これを覚えたのはもう少しあとのことです。
今から思えば、京呉服の会長も私のことを親身になって考えて、助言をくれたのだと思います。あのころの私は歳不相応の時計など派手なものを身につけていたので心配してくれたのかもしれません。
あまり知らない人からの熱心な説得はたいてい物売りや組織への勧誘と決まっているのですが、このケースは本当に真心でした。
会長、ありがとうございます。おかげさまで私も無借金で事業を30年間続ける事ができました。
皆さんも現実的なライフプランを
ごきげんよう。
【関連性の高い記事】
【あわせて読みたい】
同じカテゴリーの最新記事5件
-
道を求める者は世俗を離れ、ひとり山中に身をひそめて自分との対話を楽しむ。たまの話し相手は古典 -
【徒然草】やっぱりたまに徒然草を読んだほうがいい。吉田兼好の思考は老後生活のヒントになる -
断捨離が流行っているけど、何でも捨てればいいというものではない。捨てて失敗したものもある -
「足ることを知る」とは「現状に満足する」という意味ではない。むしろ、まったく逆の意味 -
【敬老の日】高齢者の4人に1人が働く日本。うち65歳から69歳の就業率は52%。早期リタイアの私は少数派
「カブとタイ」をいつもお読みいただき、まことにありがとうございます。
著者かぶとたいぞう拝。
記事のカテゴリー/タグ情報