かぶとたいぞうです。
私が小学生の頃、日本のGNPは西ドイツを抜いて、米国に次ぐ世界第2位になりました。
小学校の先生は、これはすごいことだと熱っぽく語り、私も嬉しい気持ちになりました。
世界には当時でも既に100カ国以上の国があり、その中には西ドイツ以外にも、イギリス、フランスなどの大国があったのです。
それらの大国を抑えて世界第2位の経済大国になったというのは、やはりすごいことなのです。
ヨーロッパの国々を超えた優越感
米国には及びませんが、ヨーロッパの国々の先を行くという優越感は、子供の私にも心地良いものでした。
私はそんな日本に生まれて幸運だと思いました。
追い抜かされてゆくヨーロッパの人たちの気持ち
その時子供だった私は、ふと、「追い抜かされてゆくヨーロッパの国々の人たちはどう感じているのだろう」か、と思いました。
西ドイツに抜かされたのはまだいいとしても、今度はアジアの小国にまで抜かされて、きっと苦々しく思っているのではないかと想像しました。
少子高齢化が進むと経済力が衰える
ヨーロッパの国々は少子高齢化が進み、経済力が衰えてきていると先生に教わりました。
「日本もいつかは少子高齢化が進み、ヨーロッパの国々と同じように経済も衰退するのですか」
先生に質問すると、先生は答えました。
「日本はどんどん子供が生まれて若い人の数も増えているから、ヨーロッパのようにはならないよ」
当時はどこの家にも子供は3人くらいいました。単純に考えれば労働人口が減ることは考えられませんでした。
世界第2位の経済大国を実感
私が世界第2位の経済大国を実感したのは、大人になって海外旅行に行くようになってからです。
海外旅行が好きな私は、会社をやめて独立した直後から、いろいろな国に行きました。
そして米国でも、ヨーロッパでも、アジアでも、行く先々にTOYOTA、HONDA、YAMAHA、NEC、HITACHi、SONYなどの大きな看板があるのを見て驚きました。
日本人であることを誇りに思った
私が日本人であることを知ると、どこの国でも歓迎され、丁重な待遇を受けました。
アジアの物売りの子どもたちは「センエン、センエン」と、当時は強かった日本円をねだりました。
タイやマレーシア、ベトナム、インド、バリ島、台湾、中国、韓国などでは贅沢な遊びができました。
家族で何回もアジアを旅行し、いいホテルに泊まり、ごちそうをいっぱい食べて日本人であることを誇りに思いました。
今はどうか
そして今。
日本のGNPが世界第2位になってから50年以上経ちました。私が経済大国を実感してから30年が経ちました。
そして日本のGDPは中国に抜かれて世界第3位に転落しました。
ヨーロッパの人たちの気持ちがやっと分かった
小学生だった頃想像した、ヨーロッパの国々の人たちの気持ちがやっと分かりました。苦々しいというより、寂しい気持ちです。
斜陽というのは寂しいものです。
今でも日本は世界のGDPランキングで第3位の国なのですが、2位から3位に落ちるのは寂しいものです。
最近は海外に行ってもチヤホヤされない
最近は海外旅行に行っても、日本人は以前ほどチヤホヤされません。
だいたい、海外旅行に行く日本人の数が以前に比べたら激減しています。観光地でも「日本人を見るのは初めて」という現地の若い人に出会うことがしばしばあります。
日本円の扱いがない海外の両替所が増えている
だからか分かりませんが、海外の街中の両替所では日本円を扱っていないところが増えています。
昔は米ドル(星条旗)の次に日本円(日の丸)が表示されていたのです。それが、今は星条旗の次は中国の国旗です。日の丸は表示すらされていません。それひとつとっても寂しいです。
国内にいても日本の衰退は分かる
今はコロナで海外に行くのが困難ですから、直接は感じませんが、国内にいても日本の衰退は分かります。
ここ30年間で海外のほとんどの国の経済が発展し、給料が上がり、景気が良くなって物価も上がっています。しかし日本はその間、景気が悪く、給料も上がらないし物価も上がっていません。
日本で物価が上がらない理由
日本は輸入に頼っている国ですから、食料品を始め、輸入品の仕入れ価格はどんどん上がっています。しかし日本は不景気だから、スーパーマーケットなどは売値を上げると売れ行きが悪くなるので値上げができないのです。
今まで多くの店が値上げに踏み切って客が離れ、倒産の憂き目にあっています。そしてその間隙をついて安売り店が現れてきたのです。
追い打ちをかけた消費税上げ
それでなくても不景気なのに政府が消費税を上げたから、ますます不景気になりました。
小売店は今までずっと輸入品の仕入れ単価が上がっているのに売値に転嫁しないで頑張ってきたのです。それなのに政府は消費税を上げました。それによって上がった売値は政府のせいだと言わんばかりに、未だにムキになって、法令に違反してまで税抜価格表示を続けているのです。
生活者はより防衛的な買い物行動をとる
それでも賢い人は税込価格で買うかどうか判断していますから、高いものは買いません。
ここ数年は、イオンなど強気の価格で売る店の売上が下がり、業務スーパーなど地元の安売りスーパー、新手の八百屋ベンチャー、全国チェーンではトライアルなどの安売り店などが躍進し、同じイオンでもザ・ビッグは売上を伸ばしてきました。
それらの店は涙ぐましい企業努力でコストを削減し、輸入品の仕入れ価格上昇分をカバーしてきたのです。
急激な円高で堰を切った値上げラッシュ
ところが最近は急激な円安になりました。日本に見切りをつけた海外の投資家が円をたたき売っています。それで輸入品がますます上がったのです。
価格転嫁しやすいガソリンや灯油がまず上がり、小麦粉も、サラダ油も耐えきれず上がりました。牛肉も上がったので苦渋の決断で吉野家も牛丼を値上げしました。
今後は堰を切ったように次々と値上げされるものが出てくるでしょう。
景気は良くなるか
景気が良くなるはずはありません。所得の少ない人たちは益々買うのを我慢して、スーパーなど小売店の売上は値上げしてもむしろ減り、利益はもっと減り、世の中はますます不景気になるでしょう。スタグフレーションです。
餓死するような人が出てきても不思議ではありません。生活保護の申請はますます増えるでしょう。
日本の経済力が衰えたことの現れ
これらはすべて日本の国力が衰退したことの現れなのです。特に最近の円安は投資家が円を未切り売りし始めたからであり、今後ますます円安になり、輸入品の物価が上がるかもしれません。
日本の食料自給率は家畜の飼料などを含めると実質30%くらいかもしれません。食を輸入に頼っている国なのです。そんな国の通貨が下がっていけばどうなるのかは説明するまでもないでしょう。単にファッションや贅沢品の値段が上がるのではないのです。
日本が衰退してゆくのを見るのは寂しい
歳をとると色々なことを寂しく感じるようになりますが、日本が衰退してゆくのを見るのは本当に寂しいです。そして辛いです。
私は既に金融資産の70%以上をドル資産である米国株で持っています。だから実は日本と日本円の衰退の影響はあまり受けません。
でもやっぱり寂しいです。
日本人としての誇りを取り戻したい
小学生の頃感じた、「日本人に生まれて幸せだ」という気持ちからだんだん遠ざかってきているからです。
何も経済的な豊かさだけが大事だとは思いません。私は「清貧」の実践者でもあります。
しかし最近の日本を見ていると、まさに「貧すれば鈍する」です。
貧すれば鈍する
嘘やごまかし、ズル、だまし、凶悪犯罪、裏切り、冷たい仕打ち、イジメ、殺人、助成金・補助金の不正受給、投資詐欺、毎日そんなニュースばっかりです。
もう一度日本人の誇りを取り戻したいのです。
それにはやっぱり若くて発想の素晴らしいリーダーの出現に期待するしかありません。
もう若いリーダーに任せよう
年寄りはみんな早く職を辞して若い人たちに権限を譲って下さい。年寄りが頑張っているから日本は衰退するいっぽうなのです。
「オレはアナログ人間だ」と豪語するような人がデジタル化を推進しているから、いつまで経っても進まないのです。
年寄りの数が多いから政治家は年寄り受けする政策ばかりとるのです。60歳以上で一定以上の税金を収めていない人からは選挙権を剥奪するくらいの大改革が必要ではないでしょうか。
ごきげんよう。
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著者かぶとたいぞう拝。
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