かぶとたいぞうです。
消費税が導入された時、当時の通産省は税込価格での価格表示を指示しました。税抜きの価格を表示している小売店には厳しく指導しました。
消費税が3%5%8%10%と上がるにつれ、いちいち値札や値付けシールの価格表示を替えるのは面倒だと言うことになり、8%から10%の間の時期に限り、経済産業省は時限的に一部税抜き表示を容認しました。
それが悪い慣習となり、今では税抜き価格表示が当たり前になってしまいました。
現在ほとんどの小売店が、大きな字で税抜き価格を表示して、その後に小さな字で税込価格を表示しています。
本来、消費税が上がるたびに値付け(値札やシール)を替えるのが大変だという理由で税抜き価格表示が許されたはずなのに、今では心理的錯誤を狙ったトリックが目的になってしまっているのです。だって税込価格も小さな字で併記されているのですから、値札を替える手間を惜しんでいるのではありません。
九州に本店を持つトライアルだけは、そんな卑怯なテクニックを使いませんでした。
【消費税増税】いまだに総額表示せず消費者の誤認を誘う税抜き価格表示の姑息さ
ところが先日、いつものようにトライアルで買い物をしていて、なんか違和感を感じました。知らないうちに税抜き価格を大きく書いて、その横に小さな字で税込価格を書いているのです。ショックでした。
帰国してからもう4回ぐらいトライアルで買い物をしましたが、知らずに税抜き価格を見て買っていたようです。騙された思いです。
お店の人に「税抜き表示に替えたんですね」と聞くと、壁に張ったポスターを指差して「はい、あそこに書いてある通りです」と言うのです。
「今までの方が良かったのに」と私が言うと店員さんは「そういう人もいますね」と答えたので「今までトライアルは正々堂々としているなぁと感心してファンになっていたのですが、がっかりです」と私が言うと、店員さんは笑っていました。なにか言われたら笑うように指導されているのかもしれません。
トライアルはクレジットカードが使えず不便でしたが、会社の方針に惚れて利用していたのです。だからもうトライアルには行かないと思います。
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もし、どこかのスーパーマーケットでアサヒスーパードライ350mlが売られていて、150円と大きく書かれていたら、ビール好きな人はずいぶん安いなと思って買い物かごに入れるでしょう。
ところがレジで210円になっていたらどうしますか。苦情を言うと思います。店員が「酒税抜きの価格表示です。となりに小さな字で酒税込210円と書かれていたはずです」と答えたら納得しますか?
それと同じ話なのです。
どこの世の中に税抜きで価格表示する国がありますか。ガソリン税だって、関税だって、すべて含んで売値なのです。
よくタイには消費税がないという人がいますが、タイにも消費税はあります。でも消費税を抜いた価格を表示をいる店などタイには滅多にないのです。
私の知る限り、タイで消費税抜きで価格表示しているのはレストランフジ(日本食レストラン)とラーメンおざわくらいです。他はすべて消費税込みです。当たり前です。だから私はレストランフジにもラーメンおざわにも行かないのです。絶対に行きません。
米国でも州によっては税抜き価格と税込み価格を併記している店がありますが、日本のように税抜き価格をうんと大きく表示している店は見たことがありません。
私はマーケティングリサーチが好きなので各国のスーパーマーケットを見ていますが、フランスでもドイツでも、ギリシャ、スペイン、オランダ、イタリア、中近東や中南米、アジア、どこの国でも何らかの税金を故意に抜いた価格表示など見たことはありません。
同じように、飲食店で頼んでもいないのにお通しが出て、会計時に請求されたり、何やら分からぬチャージ料金が追加請求されるのも日本だけです。
つまり、安く表示しておいて会計時に高く取るという卑怯な、あるいはセコいやり方は日本だけなのです。
日本は今インバウンドで稼がなくてはならないのに、こんな世界に通用しないことをやっていて本当に大丈夫なんですか。
経済産業省はどうして指導しないんですか。
ごきげんよう。
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著者かぶとたいぞう拝。
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