かぶとたいぞうです。
今朝早く起きて、することがないのでぼんやりとGoogleニュースを見ていました。すると、「日本人はなぜ席を譲らない?」みたいなタイトルの記事が目にとまりました。どんなことが書いてあるのだろうと思って暇つぶしに読んでみました。
「日本人はなぜ席を譲らない?」
筆者はニューヨークに住んでいる女性のようです。かなり長い文章でしたが、論旨を要約すると次の通りです。
- 出張で日本に来た。東京で電車に乗った。日本人は席の取り合い。女性に席を譲る者はいない。
- ニューヨークでは男性が女性に席を譲るのはあたりまえ。
- 同行した外国人男性は日本でも女性を見ると席を譲っていた。
- 席を譲らない日本人男性は恥ずかしい。
- 東京でオリンピックをやる前に国際標準のマナーである「レディーファースト」を身につけるべき
なるほどなぁ、と思いながら最後まで読みました。たしかに東京では席を奪い合います。席を譲りません。心にも体にも余裕がないのだろうなぁと思いました。
素直に読んだし勉強にもなりました。でも、なぜか分かりませんが、ちょっとだけ腑に落ちないと言うか、心から合意できない点があったのです。それはなぜだろうと思いながらぼんやりと記事の下のほうを見ていると、この記事に対するものすごい数のコメントが掲載されていました。
ものすごい数の批判的コメントで炎上
そのほとんどが記事に対する批判的なコメントで、いささか「炎上」気味でした。
批判的なコメントの多くは次のような指摘でした。
- 筆者は上から目線で日本人をバカにしている
- お年寄りに席を譲る話とレディーファーストは別問題
- 日本人にも席を譲る人はたくさんいる
- 女性に席を譲る必要はない
- 外国人がみな席を譲るわけではない
- 筆者の意見は独断と偏見に満ちている
批判コメントは男性が投稿したものだけではなく、女性からのものもけっこうありました。記事に対する批判コメントの内容も、なるほど、と思うものばかりで、たいへん勉強になりました。
この記事の筆者はせっかく良いことを書いたつもりなのに、どうしてここまで叩かれなければならなかったのでしょう。
この記事の筆者の論調にはたしかに上から目線がありました。「私は普通の日本人とは違うのよ」みたいな雰囲気が露骨に出ていました。だから「日本人は」という書き方になったのだろうと思います。私の中に心から合意できない点があったのはそれが原因だったようです。記事の文末にはボストンにある超有名大学の大学院を出たというプロフィールが「これ見よがし」に書かれていましたが、それも余計でした。
筆者は日本の女性の気持ちを代弁したつもりだったのに、日本の女性からもこっぴどく批判されました。
記事にはせっかく良い指摘があったのに、書き方が悪かったために本来のポイントから大きく外れて、ナショナリズム的な論争にまで発展してしまったようです。
私もブログを書いていますので、別の意味でもたいへん勉強になりました。
私の観点
批判とは別に、私は全てを客観的に読んで、記事にもコメントにも取り上げられていない大切な観点を1つだけ持ちました。
それは東京の特殊性です。
私も時々東京へ出張で出かけますが、たしかに東京では席を奪い合います。私自身もです。席が空いたら我先に座ります。人に席を譲ることはありません。なぜか。
東京は人が多すぎます。会社も集中しています。出勤時間も集中しています。その東京の会社や職場に出勤するために、大勢の人が遠くから同じ時間帯に都心に集まります。その数は尋常ではありません。通勤時間が長すぎてヘトヘトになります。
私も仕事の関係で、朝の混雑時に小田急線に乗って相模大野から新宿まで何回も行きました。地獄です。めまいがして倒れそうになりました。それが嫌で嫌で、その仕事をやめたくなりました。でも行くしかありませんでした。
自分の前の席が偶然空いて、座席に座れた時は本当に幸運でした。他の人には譲れません。立てば倒れてしまいそうです。気分が悪くて倒れそうな時に人に席を譲る余裕はありません。
私はたまにだからいいですが、東京に住んでいる人は毎日これをやっているのです。毎日毎日、本当に疲れきっているのだと思います。
私はいつもは札幌に住んでいますが、すし詰め状態の満員電車に揺られながら40分も立った経験は1度もありません。東京での朝の出勤は私には地獄です。拷問です。
ニューヨークにも住んでいたことがあります。ニューヨークの地下鉄網は長いです。朝のラッシュアワーにブロンクスからニューヨークの中心街を経由してケネディー空港まで行ったことがあります。
でも、東京の電車のような地獄絵巻はありません。混み合う区間も限られています。そもそもニューヨークには東京ほど人口が密集していません。
問題は異常な人口密集度
問題は人口の密集度にあると思います。きっと東京だけでなく、ジャカルタでもデリーでもマニラでも、世界の人口密集地域ではどこでも席の奪い合いだと思います。
その中でも東京は群を抜いて人が集中しているのです。実は、東京は人口密集度が世界一なのです。異常なのです。それが問題なのです。
解決するなら東京への一極集中を改善することです。民族の気質や風習の問題ではなく、ましてやナショナリズムとはまったく無関係の問題だと私は思うのです。
私は小さい頃から札幌に住んでいます。札幌の人はけっして「優先席」には座りません。年寄りには普通に席を譲ります。ゆずっても辞退されることが多いです。なぜなら、札幌では長い距離をずっと立っているということがないからです。譲るほうにも譲られるほうにも心に余裕があります。東京とはまったく環境が違います。
最近は札幌でも優先席に座る人が増えましたが、きっと札幌に住んでいる人ではないと思います。
記事の筆者はおそらく羽田空港からたとえば新宿のホテル、ホテルから六本木くらいまでしか電車に乗ってないのでしょう。
東京の都心だけでなく、札幌も見れば「日本人は」ではなく「東京の都心では」という捕らえ方ができたかもしれません。その点が残念です。
ごきげんよう。
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著者かぶとたいぞう拝。
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