かぶとたいぞうです。
最近は特殊詐欺の受け子や出し子、あるいは強襲、強奪に至るまで、捕まりやすい最前線に学生などの若者が「闇バイト」で関わっています。
ネット上の「高収入」「楽に稼げる」といった広告に飛び付き、仕事内容も聞かされず、依頼主にも会わずにネット上のやり取りだけで引き受けてしまうようです。
蟻地獄
身分証明書の写真を送らされ、家族構成なども聞き出され、一度手を染めると脅されて抜けられない蟻地獄に落ちると言われています。
はたから見ると、どうしてそんな「闇バイト」に手を染めたのか、どうしておかしいと思わなかったのか、と感じると思います。しかし、若者も必死なのです。
行き詰まった若者
金がなくて行き詰まり、何でもやるしかないのです。金を作るしかないのです。たいていは「おかしいな」と思いつつ、他に方法がなくて手を染めるのだと思います。
私もそうでした。
大学に払う学費がなく、アパート代も溜め込み、大学からは退学処分予告、大屋さんからは今月中に家賃が払えないなら出ていってくれと最後通告を受けた時、私ももう何でもやろうと思いました。
闇バイト
金になるなら何でもすると友人らに言って回ると、ある時、あまり親しくない友人から声がかかりました。
「通称●●さんという先輩が、度胸のある人を探している。興味があったら電話してみろ」
渡された紙には●●さんの電話番号が書かれていました。
私はその日の夜に●●さんに電話をしました。
開口一番
電話に出た●●さんは開口一番、私にこう言いました。
「あんたには良心はあるか」
私は良心なのか両親なのか確かめました。●●さんは良い心のほうだと答えました。
私は「あります」と答えました。
●●さんの言葉
すると●●さんは私にこう言いました。
「それじゃダメだ。金持ちの年寄りを騙して金を奪いとる仕事だ。良心のあるやつにはできない。オレには良心がないからこの仕事ができる」
私は恐ろしくなって丁重に断り、次の日からパチンコ屋のホール係のバイトをしました。
今から思えば
今から40年前。バブル最盛期。あの頃から年寄りを騙してお金を奪う詐欺はあったのです。その最前線を担う、今で言う闇バイトのような仕事もあったのです。
でも、今から思えば●●さんには良心がありました。本人は無いと言いましたが、私に仕事の概要を教え、私の良心を試し、私に判断をさせてくれました。それは●●さんの良心に他なりません。
今はどうか
●●さんは指示役だったのか、あるいは●●さんも最前線の人だったのか分かりません。
現在の指示役はタイかカンボジアあたりに潜伏し、ネットで指示を出すようです。闇バイトで雇った最前線の人たちが逮捕されても、自分達は決して捕まらないようにしているのです。そして最前線の若者を脅して蟻地獄に落とすのです。
実に巧妙で残忍で良心の欠片もありません。
同じ闇バイトでも、今と昔ではずいぶん違います。
それだけ世の中が世知辛くなったのでしょう。
ごきげんよう。
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著者かぶとたいぞう拝。
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