かぶとたいぞうです。
内閣府の調査によると、40~64歳の中年の「ひきこもり」が推計61万3千人になったそうです。今まで問題になっていた、15~39歳の若年層の「ひきこもり」推計54万1千人を上回ったとしています。
これを受けて根本匠厚生労働相は29日の記者会見で、「大人のひきこもりは新しい社会的問題だ。さまざまな検討、分析を加えて適切に対応していくべき課題だ」と述べました。
中年の「ひきこもり」の原因
しかし、それらを報道した各新聞記事などをよく読むと、中年の「ひきこもり」が増えたのは、それほど不思議なことでも珍しいことでもないことが分かります。
バブル崩壊後の長引く不況で日本の企業は新卒社員の採用を手控えました。いわゆる「就職氷河期」にまともな職につけなかった人が、そのまま就職浪人を長く続け、親の家に寄生しながらどうにか生きているのです。そして、その人たちがとうとう仕事につかないまま40歳を超えたのです。
加えて、2000年台になって急激に増えた非正規や派遣労働者、あるいは大量のリストラで仕事を失った人たちの再就職活動がうまくいかず、疲れ果てて家に閉じこもるようになり、それが長期化しているのだと思います。
すでに親は年金をもらう年齢です。親の年金に寄生している中年の「ひきこもり」が多いと思われます。親が死んだらどうなるのでしょうか。
調査では「1週間に1回ぐらいしか外へ出ない」「近所のコンビニ程度にしか出ない」「趣味や好きなことの用事以外は外出しない」なども「引きこもり」にカウントしているそうです。
金がかかるから外出しない
仕事も無いのに外出などしていられません。外に出ると金がかかります。特別な用事がなければ家でじっとしているのが一番金がかかりません。金が無いなら家にいるのが当たり前です。なにも不思議なことではありません。それを「ひきこもり」というなら、年寄りや貧乏人はみんな「ひきこもり」です。
原因は日本の長引く不況と労働環境の悪化、不安定な就業、そして失業です。はっきりしています。調査結果でも「ひきこもり」が始まった原因の第一は「失業」となっています。
仕事が無いから家にいる。外に出たら金がかかるから家にいる。家にいたら親が食べさせてくれる。ごくごく簡単な構造ではないですか。
根本匠厚生労働相が「大人のひきこもりは新しい社会的問題だ」と述べたことのほうが不思議です。ぜんぜん新しい社会問題ではありません。若年層の「ひきこもり」だった人が歳をとっただけです。バブル崩壊後、あるいは就職氷河期後、何も変わってないのです。当時20歳だった人が40歳になっただけなのです。
とは言え、同じ「就職氷河期」の人でも、いい仕事について活躍している人もたくさんいます。みんながみんな職にあぶれ「ひきこもり」になっているわけではありません。
バブル崩壊以前は、誰でも就職ができたのです。それほど世の中全体が好景気だったのです。それがバブル崩壊後、不景気になり、優秀な人だけが立派な会社に正社員として採用され、そうでない人は過酷な労働環境をがまんするか、仕事にあぶれるかしかなくなったのです。2極分化し、「格差」が生まれたのです。
それを「自己責任」と断じていいのでしょうか。世の中には優秀な人もいればそうでない人もいます。そうでない人でも仕事をして生きていける社会を作るのが政治家の役目ではないのでしょうか。「大人のひきこもりは新しい社会的問題だ」などと言っている場合ではありません。
仕事さえあれば「ひきこもり」しない
「ひきこもり」の一番の原因は不況です、仕事が無いことです。中には仕事を選んだり、仕事があってもサボってやらない人、ずるがしこい人、仕事をやる気がまったく無い人もいるかもしれません。しかし、ほとんどの人は自分に合ったいい仕事さえ見つかれば生き生きと働くのです。
それを、あたかも心の病や新しい社会現象であるかのように言うほうが不思議です。単純な話を複雑な話にすり替えないで欲しい。
長引く不況、少子高齢化と人口減少、そして「ひきこもり」。根底は繋がっています。日本を変えていかなければなりません。新しい仕事を増やさなければなりません。
折りしも統一地方選の最中。それらを解決しようとする政党や政治家が求められます。
ごきげんよう。
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著者かぶとたいぞう拝。
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