かぶとたいぞうです。
今朝、このブログの読者のかたから、株の銘柄選びにおいてROEをどこまで重視するかに関するご質問のメールを頂きました。
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他の読者のかたにも参考になるかもしれませんので、今回頂いたメールと私の回答を質問者のお名前を伏せて掲載させていただきます。
読者の方からのご質問メール
たいぞうさま
はじめましていつも楽しく読ませていただいています。
私は現在オーストラリア在住で、オーストラリア株の取得を考えています。
豪州株は配当利回りがいいんですよ。配当性向も高いですし。
銘柄選択を始めたのですが、たいぞうさんのおっしゃるようにROE20%クリアは相当高いハードルのようで
条件を10 – 15%くらいにまで引き下げるのが現実的かなと考えています。どう思われますか?
20%厳守すべきでしょうか?
お暇なときにでもお答えいただけると幸いです。
○○○(質問者のお名前)
*メール終了
私の回答メール
○○○(質問者のお名前)様
質問の背景になったと思われる過去記事
私は以前このブログで銘柄選びに関する記事を書いたことがあります。
その中で、10の手順を述べました。10の手順とは次のとおりです。
- 自分の興味のある産業分野の売り上げ世界ランキングを見る(私の場合は食品、日用品、薬など)。
- 上位50社中、知っている会社、興味のある会社のみピックアップして一覧表を作る。知らない企業の場合は扱っている商品やサービスを調べ、興味がわいたら一覧表に加える。30年後も通用する商品、サービスのみに限定する。
- その会社の過去5年間のROEを一覧表に記入し、5年間の平均ROEが20%以上、最低が10%以上のものだけを一次通過させ、それ以外は一覧表から外す。
- 利益、営業キャッシュフロー、純資産が増加傾向にある企業のみ2次通過させる。ただし、純資産減少が自社株買いによる場合はむしろ高く評価する。(自社株買いを大量にしている会社は「債務超過」に見えるので要注意。フィリップ・モリスのように、何年も利益が出ているのに自社株買いによって純資産がマイナスの企業がある)
- 長期有利子負債を当期純利益で割った値(最短返済年数)が6~7年を超える企業(バフェットの言う「コモディティ型」)はリストから外す。
- 以上の5つのポイントをクリアした候補企業の中から、特に気に入った5~10社を選ぶ。
- 上記の5つのポイントの評価により各企業の適正PER(その企業の株価は、1株あたりの純利益の何倍が妥当か)を自分で決める。この時、実際のPERの影響を受けないようにするために、実際PERを見ないで決める。一度決めたら後で変更しない。一流企業でも最大20(±3~5)とする。
- この適正PERにより適正取得株価(一株あたりの利益×適正PER)を算定する。
- ターゲット企業の株が、自分で決めた適正取得株価より安ければ迷わず買う。少し高ければ期間指値注文しておく。高ければ安くなるまで待つ。
- 一度方針を決めたら迷わない。そのためには買う前にしっかりと分析する。ひとたび買ったらその企業を信じる。
【出典記事】
この中で、3番目の手順として、「その会社の過去5年間のROEを一覧表に記入し、5年間の平均ROEが20%以上、最低が10%以上のものだけを一次通過させ、それ以外は一覧表から外す」としてあります。
メールを送ってくれたご質問者は、これをお読みになったのだと思います。
米国株でも豪州株でも日本株でも手順は変わらない
ご質問者は豪州株の選定に私の手順を使っていただいているようですが、銘柄選びの手順は基本的にどこの国の株であっても同じです。
長期投資が目的であればランキングに載るような、既に高い実績のある企業から選ぶ。自分が興味を持てる分野、企業を選ぶ。ROEを重視して選定する。ここまでは鉄則と言えます。
私は豪州の株に関してはまったく知識がありませんが、タイの株は検討中です。やはり米国株と同じ手順で企業分析をしています。
銘柄選びではROEを重視する
ROE重視は基本中の基本だと思います。ROEが配当率に直結するからです。現在の配当率がいくら良くてもROEが悪ければ早晩配当が減っていきます。
もちろんROE以外にも見るべき点はあります。特に成長性やキャッシュフロー、自社株買い、増配などです。
しかしそれらは高いROEがあってこそ実現するものです。樹に例えればROEが根っこで、キャッシュフローや成長性は幹、自社株買いや増配は枝葉や花、果実です。
根がしっかりしていないと枝ぶりや実がよくなるはずがありません。逆に言うと根がしっかりしているといつかは必ず良い果実を得ることができます。
だから私は根を先に見るのです。
ROE平均15%は合格か?
私の回答メールにも書いたように、ROE平均15%は相当な経営成績です。普通なら合格でしょう。日本ではROEが常に15%を超えるような企業は少数です。
しかし、私は老後資金を掛けているので、そうとう手堅く運用したいと思っています。そうとう「がめつく」考えています。
老後の生活費を株の配当に頼っていますので「絶対に潰れない」会社にしか投資しません。
会社の安定性>配当率、です。
私の「絶対に潰れない」基準がROE平均20%なのです。
実はROEの平均が20%だからといって、必ずしも「絶対潰れない」とは言えません。ROEが20%超でも大きな社会変化などにより潰れることはありえるのです。ミサイルが飛んできて本社を直撃したらどんな会社だって潰れるでしょう。
しかし確率論から言うとROEが20%もあるような会社が潰れることは滅多にないのです。
ROE平均20%+分散投資で安定性強化
私はROEの平均が20%を越える会社だけを相手にし、さらに念を入れてそのような会社を複数集めて分散投資しています。分散投資することでさらに安定率を高めることができるのです。その中の1社ぐらい潰れても自分の生活が潰れないようにしているのです。
ROE平均20%超の会社ばかり7社に分散投資している私のポートフォリオは日本国債かそれ以上の安定性を持っているのではないかと自負しています。
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それでもトータルの配当率は税引き後で3.6%あるのです。ローリスクなのにローリターンではありません。日本の預金や日本国債の利子と比べたらむしろハイリターンです。
質問者が対象としている株はもっと配当率が高いのだろうと思います。リスクが高くなればなるほどリターンが高くなるのは当然です。
自分のリスク許容度に見合った投資をお考えください。
私は臆病なのでかなり低めに構えています。
ごきげんよう。
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著者かぶとたいぞう拝。
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