かぶとたいぞうです。
よく、「会社は誰のものか」と議論になります。
欧米では「会社は株主のもの」という理解が定着しています。ところが、日本でそんなことを言うと、猛反対する人がいます。日本では、「会社は社員のもの」と言う人もいます。
日本では株主=社長、創業者一族、銀行など資本家のイメージが強い
なぜそんな議論になるのでしょうか。
日本の株式会社は閉鎖的で、非上場会社が多く、上場していても、圧倒的に社長や社長の息子、社長の腹心の部下、創業者一族、あるいは銀行が資本の相当数を支配しているケースが多いのです。
ですから、「会社は株主のもの」などと言うと、それら支配者、資本家が会社を私物化するイメージが強いのです。
欧米、特に米国の株式会社は多くの出資者で成り立っている
いっぽう、欧米、特に米国では株式市場が古くから発達していました。株式会社は基本的に上場し、多くの出資者から資本を集めて経営するイメージが強いです。
そもそも資金の調達方法がまったく違います。日本では少数の株主が会社の経営権を独占し、資金は銀行から借ります。だから、経営に口出しするのは少数の株主と銀行だけです。
米国の会社は最初から上場を目指します。最初から多くの人に資金を出してもらいます。銀行からはなるべく金を借りません。だから多くの人が会社の経営にかかわり、口出しをします。
米国では社員も株主
米国では社員が株主であるケースも多いのです。
開かれた株式市場では、誰でも1株から株を買うことができます。資本参加へのハードルが低いです。米国では自分が勤務する会社の株を持っている社員もたくさんいます。
だから、「会社は株主のもの」と言ったとき、その株主の中には社員である自分も含まれており、「当然だ」という気持ちになります。日本のように、株主=社長や社長の奥さんではないのです。
開かれた株式市場に大勢が資本参加すると、資本主義は民主主義になる
日本では株を買おうにも、いまだに100株単位、1000株単位でなければ買えない会社が多く、社員が気軽に買える環境ではありません。
そもそも日本の会社の圧倒的多数を占める中小企業は上場していません。株式の譲渡も制限しているので、一般の人には絶対に買えないのです。だからいつまでも一族支配が続くのです。金が必要なら銀行から借りるので、株主を増やす必要もありません。銀行が一族支配を助けているのです。
そんな環境で「会社は株主のため」なんて言ったら「支配一族のため」と言っているのと同じです。
いまさら感がありますが、そもそも株式会社の基本理念は、広く多くの人が自由に資本参加、経営参加して、開かれた経営をすることだったはずです。
それが成り立っている環境では、「会社は株主のため」と言うのはごくごく当たり前の概念なのだと思います。
開かれた株式市場で多くの人が自由に資本参加、経営参加することは民主主義の理念に合致します。
もちろん、米国にも巨大資本家による圧倒的支配や資本力による強引なM&Aなどもあります。しかし、それらも開かれた市場で、市場のルールに従っておこなわれているものなのです。日本のように、少数株主による密談と独断でおこなわれているわけではありません。
日本では、まだ本当の意味での開かれた株式市場は成立していません。それが、私が米国市場にばかり目を向ける所以でもあります。
あらためて、「会社は誰のものか」。
米国と日本とでは質問の背景がまったく異なるのです。
ごきげんよう。
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著者かぶとたいぞう拝。
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