【米国株】たとえ配当率が低くても、老後資金の長期投資には増配する会社のほうが絶対おすすめの理由

かぶとたいぞうです。

老後資金を株に投資する場合、配当率はとても大事です。

1000万円の資金を株に投資した場合、配当率が4%ならば年間で40万円(月額3万3千円)の配当を得ることができますが、2%ならば20万円(月額1万6千円)しか得られません。



誰でも配当率の高い会社に注目するが

だから、誰でも配当率の高い会社を選ぶと思います。しかし、配当率だけで会社を選ぶと、とんだ落とし穴にハマる場合もあるのです。

カギは「増配」です。

企業が配当金を増やすことを「増配」と言います。逆に配当金を減らすことを「減配」と言います。

配当率4%の会社と配当率2%の会社

配当率が4%で増配をしていない会社と、配当率は2%だけど毎年少しずつ増配している会社があるとします。あなたは投資先としてどちらを選びますか。

今の私なら迷わず増配している会社のほうを選びます。しかし、かつての私はそうは思えませんでした。

長期投資を始めたばかりの頃の私は、配当率だけで投資先を判断していました。



配当率3%未満の会社は、配当狙いの投資には不適当?

どうせ投資するなら、投資利回りは最低3%は欲しいと思っていたのです。

ペプシコやプロクター・アンド・ギャンブル、ジョンソン・エンド・ジョンソンなどの優良企業は毎年増配していることは知っていました。しかし配当率がいずれも2%台と低いのです。私の投資先には不適当と考えていました。

でも後になって分かったのです。現在の配当率よりも将来の実質配当率のほうが大事なことを。

このことを理解することは、長期投資をする上でとても大切なことなので、今日は少し丁寧に説明します。

配当率のちがう2つの会社の株を買ったとする

今ここに、1株100ドル、年間配当金2ドルで、毎年少しずつ増配しているAという会社があるとします。Aの現在の配当率は2%です。

また、1株100ドル、年間配当金4ドルで、増配はしていないBという会社があるとします。Bの現在の配当率は4%です。

あなたはAの株とBの株を1株ずつ買ったとします。



投資先Aの10年後

Aは増配するぐらいの会社だから業績が良く、株価はどんどん上がっていきます。

10年後にAの株は1株200ドルになりました。その時の配当金は4ドルになりました。

10年後のAの配当率はやっぱり2%です(4ドル÷200ドル)。

しかし、100ドルの時に買ったAの株に対するあなたの実際の配当率は4%に上がっているのです。

世間では「相変わらずAは配当率が2%と低い」と評価していますが、自分の持ち株に対する実質配当率は4%と高くなっているのです。

投資先Bの10年後

いっぽうBの10年後の株価は100ドルのままです。配当金も4ドルのままです。

配当率は4%と、10年前と変わりません。



Aの実質配当率はBの実質配当率を追い越す

この時点で、AとBは同じ配当率で並びましたが、今後はおそらくAの実質配当率はBを追い越して5%、6%と上がっていくと思われます。

このように増配している会社の実質配当率は上がっていき、増配していない会社の配当率を超えるのです。

ちなみに減配の会社の行く末

更に言うと、配当率6%でも減配している会社なら、あっという間に増配している会社に追い抜かれてしまいます。

ここで説明している事柄は、「たられば」ではありません。現実に近い話です。



増配する会社の配当と株価と配当率の関係

増配している会社は業績が良いので株価も上がるのです。増配しても株価も一緒に上がるので、その時、その時の配当率は常に低く抑えられます。

増配する会社:kabutotai.net

増配する会社の経営者は優秀です。だから今後も増配を続ける可能性が高いです。その会社の配当率が常に低く抑えられていても、自分が出資した金額に対する実際の配当率はこれからも上がり続けることが期待できます。

減配する会社の配当と株価と配当率の関係

いっぽう、減配した会社は業績が悪いから減配したのですから、株価は当然下がります。配当が減っても株価も一緒に下がるので、その時、その時の配当率はけっこう高止まりなのです。株価がうんと下がれば配当率はむしろ上がります。

特に減配などして急激に株価が下がった会社の配当率はうんと高くなりますから要注意です。配当率の高さだけに釣られて投資すると後悔するかもしれません。

減配するような会社の経営者は優秀ではありません。だから一度でも減配をしたような会社は、その後もたびたび減配する可能性が高いです。その会社の配当率が表面上は常に高くても、自分が出資した金額に対する実際の配当率はどんどん下がっていく可能性が高いのです。



私が日本たばこ産業の株をすべて売った理由

私が今年(2021年)の3月に、減配に転じた日本たばこ産業の株をすべて処分した理由はそこにあります。

世間では「減配したと言えども、日本たばこ産業の配当率は今でも6%と高い」と評価しています。しかし私が実際に買った時の金額(3300円)に対する実質配当率は3%台に落ちていたのです。今後はもっと落ちるかもしれないと思って売りました。

+++

私は投資金額と配当金、実際の配当率の推移を記録している

私は長い間、買った時の株価と配当金の推移をすべてエクセル表に記録して、実質配当率の変化を見てきました。

その結果、その時の配当率が低くとも、増配している会社なら実質の配当率がどんどん上がっていくことを実感しました。



ペプシコもジョンソン・エンド・ジョンソンも実質配当率は3%を大きく超えた

ペプシコもジョンソン・エンド・ジョンソンも実質配当率は3%を大きく超えています。

プロクター・アンド・ギャンブルは投資開始時期が遅かったので、まだ3%を超えていませんが、じきに超えるだろうという確信があります。

私の保有株はすべて増配株

私が所有する米国株はすべて増配企業なので、実質配当率はどんどん上がっていくのです。

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長く株を保有しないと実感として得心できないことかも

今日説明したことは、とても簡単な概念なのですが、こういうことは長く株を保有し続けて初めて気づくことなのかもしれません。

ともかく、老後資金の長期投資には、増配し続けている株を強くおすすめします。

また、増配している株は人気があって株価も高いので、表面的に見える配当率(株の時価に対する配当金の率)は常に低いことも覚えておいて下さい。

ごきげんよう。


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著者かぶとたいぞう拝。


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“【米国株】たとえ配当率が低くても、老後資金の長期投資には増配する会社のほうが絶対おすすめの理由” への4件の返信

  1. 似たような境遇なのでいつも拝読させていただいています。
    とこれで、10/11の内容で、
    米国株にかかる税金ですが、総合課税を選択し”外国税額控除”の適用を受ければ税金はかなり圧縮できるのではないでしょうか? 

    • mongkok様
      かぶとたいぞうです。
      コメントありがとうございます。

      私も毎年総合課税を選択して外国税を返してもらっております。説明を単純化するために総合課税のことを省略してしまいました。

      もう少し丁寧に説明したほうが良かったですね。
      今度からそうします。

      ありがとうございました。

  2. いつも貴重なご意見、ありがとうございます。
    大いに参考にさせていただいてます。
    僕もまったく同じ意見です。

    ところで1つ質問があります。

    ポートフォリオの中で、今回ブログで取り上げられているB株に最も近い銘柄は何ですか?

    購入単価の違いはありますが、僕のポートフォリオととても似通っていますので、参考までに伺いたいと思います。

    よろしくお願い申し上げます。

    • がくぼん様
      かぶとたいぞうです。
      コメントありがとうございます。

      私のポートフォリオの中で、例示したBに近いのはGISゼネラルミルズです。

      しかし、ゼネラルミルズも昨年の秋から3年ぶりに増配を再開しました。
      よって、今はBに近いものはありません。
      ロッキードマーティンもわずかながら増配していますし。

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