パタヤビーチ、風で飛んでいったゴザ、追いかけた青年

かぶとたいぞうです。

昨日パタヤビーチで見た、ちょっと心温まるお話をご紹介します。

私はパタヤビーチのソイ13あたりの海岸でひなたぼっこをしていました。ここ最近パタヤは猛暑に見舞われています。報道によれば、今年はタイ全土が異常に暑いらしいです。そんな中、海風に吹かれて私はのんびりと海を見ていました。

パタヤの海岸





放置されたゴザ

さっきから私の前に、だれも座っていないゴザがあることに気づいていました。

赤紫色のゴザです。2人用の大きさです。ゴザの上にはサンダルが置いてあります。

私がここに腰掛けてから既に30分以上経っています。ゴザの持ち主は海で泳いでいるのでしょうか。それともゴザを放置したまま帰ってしまったのでしょうか。

サンダルがあるので帰ったとは思えません。買い物に行ったにしても普通はサンダルを履いていくはずです。

別に気にもとめずに、ただぼんやりと眺めていました。買っても200バーツ(700円)程度のゴザです。サンダルも安っぽい汚れたサンダルです。捨てていったのかもしれません。

突然吹いた陸風

その時、ヤシの木が大きく揺れたと思ったら、陸風が吹いてきました。

普通、海岸にいると海から吹いてくる風、つまり海風が普通なのですが、夕方になると時々、逆に陸から海への風が起きることがあります。

陸風に吹かれて、持ち主不在のゴザが海のほうへ移動していきました。

私もそうですが、ゴザから離れて海などへ行く時は、海風でゴザがまくられないように、サンダルをゴザの上に置いて行きます。その時、サンダルはゴザの前方、海側ギリギリに起きます。ゴザの下に海風が入ってゴザがまくられないようにです。

持ち主不在のゴザもきっとサンダルはゴザの海側に乗せられていたのだろうと思います。そこに予期せぬ陸風が吹いたので、風が反対側から入り込み、ゴザは簡単に宙に浮きました。

私は一瞬、「あ」、と思いましたが、何の行動も取りませんでした。

持ち主不在のゴザです。別に風で吹き飛んでも自分には関係ありません。しかも、誰かが捨てていったゴザかもしれません。誰が寝そべっていたか分からないゴザだし、触りたくもありません。

そうこうしているうちに、また大きな陸風。持ち主不在のゴザはふわっと浮いて、海のほうへ飛んでいきました。



突然現れた1人の青年

そこへどこから来たのか一人の青年。あわや、ゴザが海まで飛んでいくという寸前にゴザに飛びつきました。

「ああ、持ち主が現れたのだな」と思いましたが、どうも様子が違います。

青年はゴザを綺麗に折りたたみ、あたりを見回し、たたんだゴザを適当な木の枝に吊り下げて去ってしまいました。

私はその青年の後姿を追いました。

何をしている青年なんだろうか。

青年は道路に立って、誰かを待っているようです。年齢は20歳代~30歳。長髪のタイ人。あまりいい身なりではありません。きっと観光客向けの使い走りのような仕事をしているのでしょう。

もう一度振り返って木の枝に吊り下げられたゴザを見ました。

この光景、以前は日本でも見たことがあるなぁ、と思いました。

冬。北海道。雪道。誰かが落とした手袋。それが木の枝なんかによく吊り下げられていました。私が子供のころよく見た光景です。

私は大いに恥じました。私にはあの青年がやったことができなかった。私のほうがゴザのすぐ近くにいたのに。

きっとこれからもできない。いつからか、落ちているものを拾ったり持ち主のことを考えたりすることができなくなってしまったのです。

それに比べてタイ人は今でもそんなことを普通にやっている。20代の青年が、それも、それほど裕福でもないし余裕もなさそうな青年が普通にやっている。

そんなことを考えました。そして妙に感心して感動しました。

私は「せめて」と思って、目の前に落ちていた、誰かが飲んだビールの空き瓶を拾い上げました。そしてそれを近くのゴミ箱に捨ててから帰りました。

日本で積めなかった善行をタイで積んでみたいと思いましたが、3日坊主で終わりそうな気がします。

ごきげんよう。


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著者かぶとたいぞう拝。


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